11月に開幕するサッカーW杯カタール大会を前に、日本代表の背番号「10」を背負うFW南野拓実(ASモナコ)の発言が物議を醸していた。
発端となったのは、7月1日に発売された写真誌「FRIDAY」のインタビュー。
W杯ベスト8への提言として、守備についての課題を挙げて、こう答えたのだ。
「確かにブラジル戦では、引いて守るディフェンスが機能しました。ただ日本には『守備のフィロソフィー』がないんです。世界トップのチームは『前に出て攻める』守備をする。日本にはその思想が足りないと感じています。もっと約束事を細かく決めて、高い位置でボールを奪えるような守備パターンを3つくらい増やさないと、ドイツやスペインには勝てない。親善試合後に前線の選手たちと、そんな話をしました」
昨シーズンまでプレミアリーグのトップチーム、リバプールFCで揉まれていた南野にとっては、世界目線での提言だったのだろう。
ところがインタビュー内容がネット記事として転載されると、すぐさまサッカーファンの間で話題になり、波紋を広げることに。
「守備のフィロソフィー(哲学)が欠けていると指摘したため、日本代表の森保一監督を批判したものだと受け止められたんです。南野ファンからは、W杯メンバー発表前に大丈夫なのかと、選考漏れを心配する声も出ていました。そんな矢先、ネット記事も『FRIDAYデジタル』の記事も削除され、余計に物議を醸しているんです」(サッカーライター)
ネット上の騒ぎを危惧し、先手を打って火消しに走ったのだろうか。サッカーライターが続けて、その理由を推察する。
「96年のアトランタ五輪では、決勝トーナメント進出をかけた第3戦のハンガリー戦を前に、積極的に攻めたい攻撃陣と、まずは引いてしっかり守りたいと考えていた西野朗監督が対立。納得できなかった中田英寿が強く直訴して監督と衝突し、先発メンバーから外されました。W杯はチームの意識がバラバラでは勝てません。余計な憶測が広る前に記事を削除して、なかったことにしたかったのではないでしょうか」
選手と監督の間で遺恨勃発とならなければよいのだが…。