初戦のコートジボワール戦で惨敗。背水の陣で臨んだギリシャ戦でもネットを揺らすことはなかった。なぜザックジャパンは、この4年間で“進化”できなかったのか。「サッカー界のご意見番」釜本邦茂氏が、「S級戦犯」の名前をあげて批判した!
「(決勝トーナメント進出の)可能性は0%ではないけれど、あって5%程度くらいでしょう。ただ、この現実が世界基準における日本のレベルということですよ。先日のギリシャ戦では数的優位の状況の中で、ボールの支配率では圧倒したが、結局10人の相手を崩しきることができなかった。いくらパスが20本、30本と通って、ゴール前までボールを運ぶことができても、結局のところサッカーは点を取ってなんぼのスポーツなんだから。日本がやっているパスサッカーは、アジアでは通用するかもしれないけど、W杯本番では勝てないということ。まずはしっかり守って、相手の隙を狙う“堅守速攻”のスタイルでしか、フィジカルで勝る相手とは互角以上の戦いはできないと思いますね」
強い口調でこう語るのは日本サッカー協会顧問の釜本邦茂氏だ。コロンビアとのグループリーグ最終戦を前に、早くも決勝トーナメントへの自力突破が消滅した日本代表に対し、開幕前、多くのサッカー解説者たちが日本のグループリーグ突破に太鼓判を押す中、敗退を危惧していたのが釜本氏だった。
その原因となったのが、主力選手の不振にあるのは、誰の目にも明らかだろう。Wエースとして期待された本田圭佑は、初戦のコートジボワール戦で、先制ゴールをあげたものの本調子とは程遠いプレー内容。さらに、香川真司に至っては2戦目のギリシャ戦ではスタメン落ちという体たらくぶりだった。釜本氏も「Wエース」に対して強烈なダメ出しをする。
「ギリシャ戦でもトップ下の本田にボールが集まるんだけど、相手にカットされる場面も見られ、せっかく日本に生まれかけた攻撃のリズムが停滞。相手に守備態勢を整える時間を与えてしまった。走力をもっと上げる必要がある。ただ、彼はシュート力があるから。私だったら1トップで使ってましたね。それはザッケローニの采配ミスでしょう。 香川に関しては、選手が激しく当たってこない親善試合では活躍できるが、ガチガチに体を当ててくる真剣勝負の試合では弱っちくて使いものにならない。私が懸念していたとおりのプレー内容でした。しかも初戦のコートジボワール戦は雨水を含んで重いピッチでのプレーを強いられ、ほとんど何もできないというありさま。ギリシャ戦は、後半から投入されて、ドリブルで仕掛ける場面もあったけれど、バイタルエリアに侵入していくような果敢なプレーは見られなかった。相手にとってはセンターサークル付近で、ちょこまかと動き回られても怖くも何ともないんですよ。香川は、エースナンバーの10番を背負っているんだから、もっとフィジカルを強くして、強引なプレーで相手の脅威になっていかないとダメですね」
◆アサヒ芸能6/24発売(7/3号)より