若手の蜂起でチーム内の居場所をなくした本田に代わって、評価を上げているのが、ポジション争いを繰り広げている香川真司(29)だ。
12日のパラグアイ戦で、本田がベンチスタートだったのを尻目に、パラグアイに1点を先制されたものの、香川や乾を中心に攻撃がうまく連動し始め、みごと4対2で快勝。そこで際立ったのは、チーム内で孤立する本田の姿だった。
「乾が同点弾を放った時も、他のベンチメンバーが喜びを爆発させ乾を祝福する中、積極的にその輪に入ろうとしませんでした。終了間際にライバルの香川がダメ押しの4点目を決めた際に一瞬カメラが本田を映しましたが、ほとんど仏頂面。まさに、『ポジションを真司に取られた』と感じていたのでしょう」(スポーツ紙カメラマン)
さらには4年前のブラジル大会とは違い、ベテラン海外組の長友や岡崎慎司(32)も同調しないばかりか、「(1次リーグで)3戦惨敗もある」と悲壮感を持ち、若手を引っ張っている。
「4年前の大会で、GK川島永嗣(35)が本田の胸ぐらをつかむ事態が勃発しチーム崩壊寸前にまでなった教訓を生かし、長谷部誠(34)や長友がたくみにチーム内をまとめています。そのプラス効果か、中堅の原口も、はっきりと意見を言うようになった」(サッカージャーナリスト)
さらに本田に似たプレースタイルの宇佐美に対しても同様の注文が飛び交ったが‥‥。
「宇佐美は西野監督の愛弟子で、局面打開の個人技とシュート力を誇るものの、スプリント力や守備のポジショニングに課題を抱え、本田に似て協調性に欠け、攻守のバランスを崩しかねない」(テレビ局中継スタッフ)
もはや本田や宇佐美のような唯我独尊の選手は歓迎されないのだ。そして、本田のチーム内孤立の決定打となったのは、長友の11日のオーストリア合宿でのひと言だった。
「(本田と)話をした。彼もパフォーマンスを上げないといけない。もっと走り、ミスも減らして得点に絡まないと、チームは勝てない」
これが現在の代表チームの総意なのだという。
「この発言で長友との間に亀裂が入ったわけではないが、戦術の方向性はまったく違う。そもそも、長友という選手はチーム内の空気を読むのがうまく、その時のチームの主流というか、体制側に立つことに長けた選手。つまり、本田が志向する、タメを作って時間をかけて相手を崩すパスサッカーが、今の日本代表とマッチしておらず、選手全員連動して攻撃も守備もする、運動量の多いサッカーを歓迎するチームのムードに乗っかってのコメントだった。理想を追っているのは本田だけになってしまった。そのギャップから、若手選手がどっちらけになってしまうのも無理のないことでしょう」(サッカージャーナリスト)
だが、西野監督は、本田の積極的な起用を示唆。前回のブラジル大会と同じ轍を踏まないことを祈るばかりだが‥‥。