トレードマークとも言える「粗暴ぶり」がたびたび物議を醸してきた破天荒シンガーに、またしても暴力トラブルが舞い込んだ。元マネジャーが法廷にまで訴えたというものだが、コトの真偽はともかく、その手癖足癖は今も健在なようで、あちこちから「被害証言」が噴出してくるのである。
元マネジャーT氏が殴る蹴るの暴行を受けて身体的、精神的被害を受けたとして、長渕剛(57)を相手に約200万円を請求する訴えを今年3月に起こしていた──。
T氏が暴行を受けたのは、長渕の事務所に雇われていた3年前のこと。
「羽田空港に迎えに行った際に出口を間違えたところ、腹を立てた長渕に背後から靴のまま蹴りを入れられ、その後もことあるごとに恫喝と殴る蹴るを加えられた。あるいは、暴力に耐えかねて契約解除を申し出ると『わび状を書け』『俺とタイマンしよう』と脅し、首を絞めたなどというものでした」(社会部記者)
これに対して、長渕の代理人弁護士は「事実無根」と反論。長渕が所属するレコード会社の関係者によれば、
「長渕は『冗談じゃないぞ、コラ!』と激怒しているようです。完全にハメられた、言いがかりだと‥‥」
争いの結末は裁判の成り行きを見守るしかないが、それにしても長渕には昔から、この手のトラブルが尽きることがない。
古くは93年、長渕主演のドラマ「RUN」(TBS系)の打ち上げパーティ終了後の騒動だ。
「長渕と共演し、当時『愛人』と言われていた国生さゆり(47)の体に触れたスタッフのADが長渕に呼び戻され、サンドバッグのごとくボコボコに殴られたのです。国生もコップ酒を投げつけて『やれ、やれ』とハヤしたてた。殴り終わった長渕はADに5万円を投げつけ、『訴えられるものなら訴えてみろ』と罵倒したそうです」(芸能ライター)
94年には、桑田佳祐(58)のソロアルバム「孤独の太陽」に収録された曲「すべての歌に懺悔しな!!」の歌詞を巡り、長渕がケンカを売った。「クスリにゃ目がないバカヤロ様がいる」「テレビにゃ出ないと言ったのにドラマの主役にゃ燃えている」とのフレーズが長渕を揶揄している、という抗議だった。長渕は月刊誌「Views」(講談社)のインタビューで「俺は桑田佳祐を許さない!」と口撃を強め、対立は深まったが、翌95年1月に長渕が大麻不法所持で逮捕され、なし崩し的に鎮静化していった。
この頃の全国ツアーでは、
「勝手にイライラしては『やりてぇな』とつぶやく。誰か殴らせてくれ、という合図なんです。殴ればスッキリするというウップン晴らしですよ。かと思えば、楽屋で突然暴れだし、椅子をブン投げるなどして部屋の中をメチャクチャにしたこともあった」(元スタッフ)
意味不明な鉄拳制裁に、スタッフは振り回されたのだった。
長渕は03年、パーソナリティを務める「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)で、学校で暴力を振るってしまった、という高校生リスナーからのメールに答える形で、暴力についてこう持論を展開している。
「殴った自分が正しいと思えればいいんじゃないか。我慢ならない時、あまりにもひどいじゃないかという時、俺は一発やっていいと思う。これは『肉体言語』だよ。『暴力』じゃないの。ただし、要は殴り方なんですよ。俺も時として『肉体言語』がポーンと出ることはあるよ。でも反省はしてないし」
長渕独特の「肉体言語」なる解釈で、自身の暴力も正当化していたのだ。