ミスターこと長嶋茂雄氏と、その長男で現在はタレントとして活躍している一茂には、長らく確執があり、今や絶縁状態であるとも伝えられている。2人の関係はこじれにこじれ、一茂は某雑誌のエッセイで「生きているうちに父と会うことは二度とないだろう」とまで綴っているほどだ。
2人の確執の原因についてはさまざまな説が伝えられているが、実はその一端に、元巨人で野球解説者の江川卓氏にまつわる、あの78年「空白の1日事件」があったという。
この年のドラフト会議は11月22日だったが、巨人と江川氏は、前年のドラフト会議で交渉権を得ていた西武の権利が消失する11月21日に電撃契約を結んでしまったのだ。この「暴挙」に他の11球団は猛反発した。巨人は正当性を訴えた上でこの年のドラフト会議をボイコット。会議では阪神が江川氏の交渉権を得たが、結果的に、翌79年1月に江川氏は一度阪神に入団した上で、巨人の人気投手だった小林繁氏との交換トレードによって巨人入団に至った。この一連の掟破りとも言えるような経緯に、巨人や江川氏は大バッシングされたのだった。60年代に「巨人・大鵬・卵焼き」と子供が好きだったものが並べられたのをもじり、嫌いなものの象徴として「江川・ピーマン・北の湖」と揶揄されたものだ。
この「空白の1日」について、1月6日に江川氏のYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】〉に出演した一茂は、こんな内幕を明かしたのである。
「ジャイアンツが『江川さんラブ』で、どうしても獲りたいがために姑息な手段を使ったわけですよ」
その上で「主犯」は父親だと断じたのだ。
「暗躍というか、画策というか、作戦引いたのは、父親なんです」「江川さんのダーティーなイメージの責任は父親にあるんです」
ついには、「全部、父親のせいです!」とまで言い切ったのである。
少しでも笑いを入れて話を和らげようとする江川氏に対し、あくまで真剣に話す一茂は、長嶋氏について、「ボクは父親のことをリスペクトしてますし、いちばんの長嶋茂雄のファンはボクだと思ってる」としたものの、「それと、江川さんに悪役のイメージを植え付けさせてしまった父親は別の話」「僕は今日、謝りに来たんです」と大真面目に語るのだった。
2人の確執の根が想像以上に深いことが垣間見られた動画だったのである。
(所ひで/ユーチューブライター)