「和歌山記念」◎脇本雄太/○松浦悠士/▲守澤太志/△古性優作
同じ地区でラインが2つになっても、叩き合ったりはしない。
「和歌山記念」(1月12日【木】~15日【日】)は、SS班5人のうち、新田祐大は立川に続く記念の連戦になる。4人目のグランドスラマーとはいえ、平塚グランプリからの臨戦過程は厳しく、中心になるのは手厚い陣容を誇る近畿勢だ。
誰もが認める先行日本一の脇本雄太が、圧巻のパフォーマンスで23年の初優勝を飾る。近畿は石塚輪太郎─稲毛健太─東口善朋の和歌山トリオと、脇本─古性優作で別ラインになったとしても、叩き合うようなことはない。脇本が逃げとまくりの両様に構えて、抜け出すとみた。
松浦悠士が多彩な戦法で抵抗する。中四国は手薄だけに単騎もありえるが、自在に動いて好位を確保。脇本よりも先に仕掛ければ、好勝負になる。
あとは差し脚鋭い守澤太志と、レース巧者の古性の台頭を警戒したい。
特に守澤は、大舞台で頂点を極めることが今年の課題だろう。昨年はGI戦で1度の準優勝と3着が2度あったが、レース勘のよさは上位陣屈指でも、いつまでもチャンスがあるわけではない。ここも気を引き締めて戦い抜いてほしい。
広島記念で〈1〉〈1〉〈3〉〈5〉と健闘した石塚が好調をキープしている。まくりが持ち味だが逃げても粘って1着を量産。印は回らなかったが見せ場は作る。
【大穴この1車】
長島大介(栃木・96期)の万車券は、初日か最終日のどちらかに絞れる珍しい選手。それも西日本のレースでは、昨年10月、向日町(〈3〉〈1〉〈1〉)の決勝戦で2万円超、和歌山(〈2〉〈2〉〈2〉)の初日が3万円超と高配当を演出している。グレード戦では、前橋寛仁親王牌(〈8〉〈9〉〈6〉〈1〉)の最終日23万8880円は別格として、岸和田高松宮記念杯(〈9〉〈6〉〈5〉〈1〉)最終日の1万円超もある。1場所1本限定。初日にヒットなら店じまいだ。
【狙い目の伏兵3人】
南潤(和歌山・111期)は、この地元記念で18年決勝戦8着と、その後も2度準決勝に乗っている。主導権を取って逃げ切りにかける。
南と同期の金ヶ江勇気(佐賀)は昨年12月の記念2戦、高松(〈1〉〈9〉〈1〉〈3〉)、広島(〈1〉〈8〉〈1〉〈6〉)と好走。2次予選突破が目標になる。
昨年11月の久留米で3連勝し、S級初優勝を飾った伊藤旭(熊本・117期)の勢いが止まりそうにない。すでに記念の決勝戦に進出し、レース運びは巧み。大暴れがある。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。