1月19日の正午過ぎ、鹿児島県の桜島が今年5回目となる爆発的な噴火を起こした。
気象台によれば、桜島では14日午前から島内に設置された計測器により、山体の膨張を示すわずかな地殻変動を観測。19日の噴火の際は噴煙が1300メートルにまで上り、その後も山体膨張を示す地殻変動は続いているという。地質学の研究者によれば、
「爆発したのは南岳山頂火口で、問題は今後どこまで膨張が続くか。一気に膨張を解消するような噴火が起きれば、それだけ規模は大きくなる。現状ではまだ大事には至っていませんが、できるだけ早い段階の解消が望まれます」
活発な活動が続く桜島では、20年6月に火口から1万メートル近くまで噴煙が上がる噴火が、さらに昨年7月にも警戒レベルが最大の「5」となる爆発的な噴火が発生(双方とも南岳山頂火口)。後者では、噴石が火口から約2.5キロ付近まで飛散している。こうした中、いつ発生してもおかしくないと言われているのが「破局噴火」だ。
「桜島は、現在の鹿児島湾全体を火口とした姶良(あいら)カルデラの南縁にあたり、この姶良カルデラからマグマが供給されていると言われます。恐ろしいのは、この巨大カルデラの破局噴火で、前回、約3万年前に発生した際は九州地方から四国地方までの旧石器人が絶滅、火山灰は関東地方にまで飛散したと言われます。桜島の活発化が破局噴火の予兆とは考えたくもありませんが、関連性がないとは言い切れない。いずれにせよ、シグナルである可能性も意識しておかなければなりません」(前出・地質学の研究者)
3万年前の姶良カルデラの噴火については昨年、産業技術総合研究所が、従来考えられていたよりも規模が1.5倍大きく、鹿児島市内で最大100メートル以上の噴出物が堆積したと発表している。これが再び現実のものとなれば、南海トラフ巨大地震と並び地獄絵図になりそうだ。