アメリカ本土上空を浮遊していた中国の「偵察用気球」が2月4日、アメリカ軍のF22戦闘機が発射したミサイルによって撃ち落とされた。
中国外務省は「中国の民間の気象観測用」であると強弁して「偏西風の影響でコースを外れた」だけで「完全に不可抗力であり、予想外の偶発的な事件」と強調。撃墜に猛抗議すると同時に、報復を匂わせる中国お得意の態度に出ている。軍事関係者が語る。
「気球はアラスカ上空を通って南下し、カナダからアメリカ本土に入っています。偏西風に流れされたという言い訳は、あまりに苦しいですね。気球の飛行ルート上には、アメリカの軍事施設が点在していますし、撃墜された南部サウスカロライナ州の沖合に散らばった残骸の回収作業が始まれば、積んでいたレーダーなどの解析も進むでしょう。中国のウソがバレるのも時間の問題です」
実は中国の「気球スパイ」は今に始まったことではない。日本でも20年6月に仙台市、21年9月には青森県八戸市上空で、ほぼ同じ気球が目撃されている。
そればかりか、10年から11年頃あたりから、中国軍はロシアのアウグスロスエアロ社から3つの気球を調達し、インドとの国境にあたる中国側チベット地域でも「インド軍偵察のために」新型の気球を運用していたという。まさに「常習者」だ。先の軍事関係者が補足する。
「このインド軍偵察ためのスパイ気球はレーダーシステムを搭載し、地上5000メートル上空に打ち上げられるもので、形は飛行船に近く、サイズもかなり大きいものだった。衛星写真に写っていたことで、発覚したようです。すぐにバレるのは、考えればわかりそうなものですが…」
今回の撃墜といい、なんともマヌケなお笑い偵察システムだ。
とはいえ、今後、中国が国際社会からさらなる批判を浴びるのは間違いない。全世界にウソつき体質の恥部が晒された時、またしても見えすいた弁明を駆使して逆ギレするのだろうが、それを信用する者は誰もいない。