アメリカ本土上空の領空侵犯を繰り返した、中国の「スパイ気球」。当初、中国は「気球は民間の気象観測用だった」と釈明したが、米国務省から「過去数年間、中国の偵察気球は5大陸40カ国以上の上空で領空侵犯とスパイ活動を繰り返してきた」との事実を突きつけられるや、手のひらを返したようにアメリカ側にイチャモンをつけ始めた。
中でもアメリカをはじめ西側諸国をアキレさせたのが、中国外務省が2月13日に発出した、以下のような声明だった。
「去年だけでも、アメリカの気球が中国の許可なしに十数回、中国の領空に侵入した。アメリカこそが、世界最大のスパイ国家だ。中国の顔に泥を塗るようなやり方には断固として反対する。アメリカがまずやるべきは、自らを省みて反省することだ」
この言いがかりに対し、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は「アメリカは中国の上空で気球など飛ばしていない。全くの事実無根だ」と一蹴。習近平政権の内情に詳しい国際政治ジャーナリストも、次のように指摘する。
「中国は前日の2月12日にも『海洋開発局が山東半島沖で、正体不明の飛行物体に対する撃墜準備を進めている』とのヨタ情報を流していますが、さしずめ自国のスパイ気球をアメリカの気球にデッチ上げる、自作自演を狙ったのでしょう。いずれにせよ、子供でもわかるウソを平然と重ね続けて既成事実を仕立てていくのは、習近平政権のいつもの手口。ウソも100回言い続ければ本当らしく見えてくる、ということです」
その後、中国による子供騙しのイチャモンは日本にも向けられた。
過去に日本の領空内(鹿児島県上空、宮城県上空、青森県上空など)で確認された気球型の飛行物体について、防衛省は2月14日夜、「中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される」と発表。これに対し、中国外務省は翌15日午後に「日本は確固たる証拠がないのに、中国の顔に泥を塗った」などと、ヒステリックに言い立ててみせたのだ。
「その後、中国メディアは『日本はこれをいい機会とばかりに、中国を煽り立てる陣営に加わった』とも報じている。コトここに及んでも止まない大放言の数々。もはや、まともな神経とは思えない」(前出・国際政治ジャーナリスト)
世界の常識も規範も一切通用しない「ならず者国家」。これが習近平国家主席率いる中国の偽らざる正体なのである。