選手とファンの交流を阻む“ソーシャルディスタンス”は吹き飛んだ。一部の球団を除いてファンサービスが復活。待ちに待った、いつもの賑やかな春季キャンプが帰ってきたのだ。ところがどっこい、コロナを理由にひた隠しにされてきた不都合な真実も白日の下に晒されるハメに‥‥。大本営では滅多に報じられないキャンプ情報をレポートする。
日本一奪還を目指す巨人軍の朝は早い。2月2日朝6時45分。アサ芸密着記者が眠い目をこすっていると、まだ薄暗い宮崎県総合運動公園で明かりを灯す「木の花ドーム」に、1軍野手や首脳陣を乗せた送迎車が到着。報道陣のフラッシュを一斉に浴びながら、春季キャンプのアーリーワーク初日がスタートした。巨人球団関係者が語る。
「もともと、送迎車の出発を6時45分に予定していましたが、常に10分前行動を求める“ジャイアンツタイム”の影響で到着時間が早まりました。この暗黙のルールに不慣れなオコエ瑠偉(25)は、緊張したのか朝4時に目が覚めてしまったそうです。ちなみに、この日の1番乗りは広島からカムバックした長野久義(38)でした。個別に宿舎を出発して6時20分に到着。先にストレッチなどして体を動かしていました」
7時になるとドーム内にはティーバッティングの小気味よい打球音が響いていた。この約1時間半にわたる“朝活”で誰よりも気を吐いていたのが、大久保博元打撃チーフコーチ(56)だ。
とにかく、選手1人1人を鼓舞して回る。数十回連続でスイングをしてへたり込む中田翔(33)に檄を飛ばすと、「俺も必死に頑張っとるんじゃ~!」という中田のレスポンスで盛り上がるシーンも。もちろん、技術指導にも抜かりはなし。
そんな大久保コーチを懐刀として従えるのが原辰徳監督(64)。アーリーワーク中にも2人で綿密に打ち合わせを重ねていた。スポーツ紙デスクがその関係性を解説する。
「原監督はデーブの打撃理論に全幅の信頼を置いています。デーブも『強い原巨人を取り戻す』とヤル気マンマンなだけに、腹心の部下に違いありません。ただし昨シーズン中、独断専行の采配を振るい続けた原監督と他の中枢を担うコーチとの間に溝が生じているのも事実。みずから引き上げたはずの元木大介作戦兼内野守備コーチ(51)や阿部慎之助ヘッド(43)との関係は冷え切っていて、必要以上に会話を交わすこともないそうです。デーブがコーチたちの間に入ってしばしば意思伝達を行っている」
実際、練習場所を「ひなたサンマリンスタジアム」に移しても2人はベッタリ。時には、“原タワー”と呼ばれる打撃ゲージ裏に設置される高台に肩を寄せて座る場面も見られた。
2人の間に阿部ヘッドが座る時間もあったのだが、ほとんどの会話のキャッチボールは、原監督と大久保コーチの間で交わされている。頭越しに会話をされ、さすがの阿部ヘッドも居心地が悪そうだった。
西日が差す頃には、別グラウンドでノックをしていた元木コーチも現れて、
「なんでデーブが座ってんだよ(笑)」
とイジって周囲の笑いを誘う場面があったが、原監督は一瞥もせずに遠くの空を眺めるばかり。
はたして、新参コーチが孤立する指揮官を救うことはできるのだろうか。