テレビアニメ「サザエさん」(フジテレビ系)のタラちゃんことフグ田タラオの声を54年間演じ続けた声優・貴家堂子さんが、2月5日に死去していた。享年87。
貴家さんは高校卒業後に、TBS放送劇団に第6期生として入団。ラジオドラマに出演していくうち、声優のオーディションに呼ばれるようになった。アニメライターが言う。
「代表作として『ハクション大魔王』のアクビ、『天才バカボン』のハジメちゃんを好演しました。貴家さんがタラちゃんを演じたのは『サザエさん』放送開始の69年から。サザエを担当した加藤みどりとともに19年、『最も長くテレビアニメシリーズにおいて同じ役を演じ続ける声優』として、ギネス世界記録に認定されました」
22年1月2日にNHKで放送されたラジオ番組「ラジオ深夜便」に出演した際、貴家さんは「サザエさん」のオーディションを「1年って約束でしたよ」と、笑い交じりに回顧。しかし、50年余りが経過して、
「どなたかお願い~ってね。声が、だんだんね…。でも『あなたがタラちゃんやらなくなったら、誰がやるのよ』って。でも、いつまでもやれないじゃないって言ったら、『いつまでもやってよ』って。あ、そうかって(笑)」
先のアニメライターによれば、
「波平役の永井一郎さんは14年1月27日(享年82)に、フネ役の麻生美代子さんは18年8月25日(享年92)に亡くなりました。放送開始からサザエさんファミリーの声を続けた仲間が既に2人、他界を理由に声優が交代しています」
「ラジオ深夜便」では「まだまだタラちゃんを演じ続けて、永遠の3歳児でいていただきたいなと思いますけど」と司会者がエールを送ると、貴家さんは次のように語っていた。
「頑張りますって言えなくて。あともう少しで100歳だもん。ここまで来ちゃったからね、やっていきます」
合掌。
(所ひで/ユーチューブライター)