今季の巻き返しを誓ったはずの日本ハム・新庄剛志監督が、すっかり戦意を喪失しているという。
パ・リーグを長年取材してきたスポーツ紙ベテラン記者は、現状を次のように説明する。
「名護のキャンプでは新庄節、リップサービスが減っています。2月12日に行われた楽天との練習試合後はコメントさえ残さず、報道陣から逃亡しましたからね。昨年最下位に終わり、今年は期すものがあったはず。それなのに、思いのほか戦力が整わない現状に、イライラが募っているのでしょう」
天衣無縫のキャラクターに思われがちな新庄監督だが、就任以降は細かく戦力を分析し、チーム再建を図ってきた。
その結果、昨季と打って変わり、自らが目立つのを避けると同時に、厳しさを前面に打ち出す姿勢でキャンプを過ごしている。
だが、現段階では成果があまり出ていない。チームの中心選手だった近藤健介がFAでソフトバンクに移籍した穴は埋まっておらず「今季は30本塁打以上を目指す」と宣言している清宮にも、成長の跡は見られない。そのため、ムードは停滞しており、球団OBの一部からは「キャンプのムードに関して言えば、昨年の方がいい」という声も出始めている。
スポーツ紙デスクが言う。
「目立った補強もしていないですからね。阪神から現役ドラフトで獲得した江越は化ける可能性はあるけど、このままなら2年連続の最下位は確定でしょう」
と不安を口にする。
ファンも正直だ。昨季、ぶっちぎりの最下位だったことに加え、新庄監督以外には目玉もない。新球場に移転するものの、チケット販促には結びついてはいないのが実情だ。しかもその新球場は、ホームベースとバックネットまでの距離が規定を満たしていないことが発覚。球団社長交代の遠因となるなど、ケチがついている。
「勝ったり負けたりするならいいですが、昨年のようにスタートから負けが込めば、新庄監督も嫌気が差して、途中で投げ出す可能性がある。まぁ、投げ出しても東京五輪で金メダルを獲った稲葉篤紀GMがいますからね。稲葉GMが代理監督になれば、チームにとってはあまり痛手にならないかもしれない」(前出・ベテラン記者)
球界に旋風を起こすことを期待された新庄監督だが、野球はそれほど甘くはないようだ。
(阿部勝彦)