だが、被害は県議会だけではなかった。野々村氏が自宅兼事務所として利用していた「武庫川団地」の住民も、鬼気迫る“呪術師”の闇素顔を目撃し、トラブルになった。武庫川団地自治会関係者が語る。
「野々村氏がこの団地に引っ越して来たのは、5年ほど前のことなのですが、間もなくして『自治会の手伝いがしたい』と志願してきたのです。さらには『自分は家庭教師の経験もあり、何でも教えられる』と自薦の文章を提出。そこで自治会の協力委員という肩書で団地内に住む小・中学生が任意で参加する寺子屋的な学習の場に講師役として参加するようになりました。ですが、はしゃいで遊び回っている子供がいると、『言うことを聞かないなら、呪いの力で地獄に落とすぞ。このクソガキが!』とものすごい剣幕でどなりつけたかと思えば、他の子には『心を解き放ち、無にすればおのずと答えは見えてくる』とスピリチュアルな発言をするなど、参加する子たちの親御さんたちからクレームが入ったこともあり、自治会を追放されました」
大声を張り上げて罵声を浴びせる。つじつまの合わない言動やオカルト的な発言‥‥。かつてのオウム真理教信者のようなカルト行為を重ねてきた野々村氏の原点は幼少時まで遡る。今回の釈明会見を見た小・中学校時代の同級生はこう回顧する。
「小学生の頃にクラスメイトの女子にからかわれて逆ギレした彼は、その女子を突き飛ばして転倒させたことがある。それを見た女子たちが彼のことを責めたら先日の会見時のように『うわぁぁぁぁあああー』とわめき散らしたんです。記者会見の様子と、何も変わっていないなと思いました」
感情をコントロールできない性格から、中学時代には「発作マン」いうニックネームも付けられていた野々村氏だが、多感な思春期を経て、さらにモンスター化に拍車がかかっていく。兵庫県川西市の職員を辞めた直後、“心のよりどころ”に出会ったのだった。
「野々村氏は関西大学法学部卒業後の92年に兵庫県川西市役所の職員になったのですが、07年に体調不良などを理由に退職。人生のどん底にあった野々村氏が救いを求めたのがシンガポールに本社を置く『スカイクエストコム』という業者が提供していたインターネットによる自己啓発セミナーです。表向きは『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房)の著者ロバート・キヨサキ氏などのノウハウが学べるとうたっていたが、実態は悪徳なマルチ商法の業者。実際、国民生活センターなどが問題視し、09年6月に日本から撤退しましたが、この悪徳業者のセミナーに信心した野々村氏は、すぐに洗脳されてマルチ商法の熱心な勧誘員となり、県議に最下位当選するまで、商品のリベートを得ることで食いつないでいた」(全国紙社会部記者)
こうして、呪術師モンスターになった野々村氏を駆り立てたのは、政務活動費のネコババという“錬金術”だったのかもしれない。
社会部記者が言う。
「9日と11日に事務局の担当者と面談を行ったが、政務活動費の不自然な支出については『記憶にない』『出張先の相手に絶交されたので言えない』などと繰り返すばかり。そのため議長および主要会派は兵庫県警に対して野々村氏に対して公文書偽造容疑などで刑事告発を行いました。今後は立件に向けて野々村氏への事情聴取や家宅捜索が行われる見込みです」
もはや、野々村氏を待ち受けるのは、司直のメスのようだ。