横田氏が指摘した地方選挙の1人区。これがベテラン議員を増やすことにもつながっている。
「国政選挙の小選挙区と同様に1人区では現職の議員のほうが圧倒的に選挙で強さを見せます。そのため、ベテランには有利です。対抗馬が立たないまま、無投票当選に終わる1人区も少なくない」(前出・横田氏)
前回の統一地方選で無投票当選を果たしたのは410名。この数字は総定数の17%にも当たるのだ。
選挙戦も経ず、高額の報酬を得て、地元では大きな顔ができる。それで犯罪をもみ消せると勘違いしたのだろうか。おバカな地方議員はあとを絶たない。
今年5月に奈良県葛城市の吉武昭博市議(27)が女子高生と淫らな行為をしたとして逮捕されたのは、その典型だろう。その後、吉武市議はナンパした女子高生との行為を有料ネット中継していたことも判明し、再逮捕され議員辞職している。女子高生との性行為で金儲けをしていたのだから、人間性を疑われてもしかたがない話だ。
「同じ奈良県では、昨年11月に御所市議(61)が、ホテル大浴場で体に入れ墨が入っているとして入浴を拒否されたことに立腹し、ボールペンで従業員の顔を突いて逮捕されるなど、地方議員の不祥事が連続で起きています。また、7月2日には酔っ払いの地方議員2人がそれぞれ事件を起こしています。青森県むつ市議が視察先で酔ってタクシーを蹴り、そのあと議員辞職。千葉県議が昼間から飲酒したあげくに運転をして逮捕され、やはり辞職しています」(社会部記者)
まるで地方議会は無法者天国なのかと思えてくるほどだ。どうして、ここまで“やりたい放題”なのか。
伊藤氏はこう話す。
「まず、地方議員は国会議員ほどマスコミや都道府県民から注目されていないという点があります。それゆえ、気が緩んでいる。もちろん不祥事を起こす議員は気の緩みでは済まされませんがね。そして、もう1点、定数が多すぎることもあげられます。平成の大合併で市町村議の人数は減ったのですが、都道府県議はあまり減っていないのが実情です」
そして伊藤氏はこんな例をあげた。人口約1300万人の東京には都議が127名。日本全体の人口は東京のおよそ10倍。では、都議の10倍に当たる1270人もの国会議員がいるかといえば、衆参合わせても約700人である。
「それだけ人数が多ければ、まともではない政治家が紛れ込む可能性は高くなる。それでなくとも、地方議員は何も仕事らしい仕事をしていない人が多いのですから、定数を減らすべきです」(前出・伊藤氏)
血税を吸う吸血鬼のような地方議員は1人でも少ないほうがいいのである。