室谷氏が続ける。
「朴槿恵は本質的に『反日尊中』教徒なのです。国民レベルで見れば、中韓は相互にバカにし合っている面がありますが、韓国人は『中国人とつきあうと得になる』と幻想を抱いています」
この動きを最も警戒していたのは他ならぬ大国アメリカ。何度も訪韓しているバイデン副大統領は、韓国に最終警告を発している。
「アメリカの反対側にベッティングする(賭ける)のはよくない」
それを振り払って韓国が手を組んだ中国だが、あらゆる意味でどん詰まり、アジアの危険な火薬庫になっている。経済崩壊と前後して、何が起こるのか──渡邉氏が語る。
「周辺国が最も心配しているのは、軍部の暴走です。ベトナム、フィリピン、尖閣もそうですが、すでに軍事的な問題を起こしていますから。中国には7つの軍閥があって、習近平はそれを掌握していないのです」
経済危機から生まれた緊張状態。結果、日本海を中心に日朝連合軍vs中韓同盟軍の「東アジア新冷戦構造」が生まれつつあるのだ。その背景に、いつ暴発するとも知れない中国が、いまだに「太平洋」を狙っているという状況がある。9日、中国を訪れたアメリカ代表団を前に、習国家主席が語った言葉からも明らかだ。
「広い太平洋には中米両大国を受け入れる十分な空間がある」
自滅目前に手を取り合った中韓に、周辺国の危機意識は高まるばかり。日本にとっては、これまで脅威とされてきた日本海北部=ロシア・北朝鮮との関係の安定が必要となってきたのだ。
「ロシアと北朝鮮が蜜月関係になり、北朝鮮と日本が雪解けを迎えれば、日本は中国の太平洋進出に集中することができます。安倍政権は政権奪取前からこのシミュレーションを行っていました。小泉政権下で拉致問題解決に成果を上げた飯島勲さんを内閣参与に迎えて今回の流れになったのが好例です」(渡邉氏)
また、中国の太平洋進出には、アメリカと協力しながらすでに対処を始めているという。
「日本がフィリピンに巡視艇10隻を提供し、オーストラリアなどに最高機密である潜水艦技術を提供します。これは日本の自主判断ではなく、アメリカが後ろからつついたからです」(宮崎氏)
新冷戦構造はいつまで続くのか──渡邉氏は予測する。
「中国のバブル崩壊後の絵図を考えれば、中国が分裂するのが現実的でしょう。私は中国が大好きなので、一つの中国より、中国はたくさんあったほうがいいと思っていますけどね」
日本に新たな接近を試みる北朝鮮だが、室谷氏は警戒を緩めない。
「北朝鮮はどこまでいっても異様な国です。核放棄もありえないですし、拉致問題も部分的進展ではあっても、日本側が満足するようなところまではいかないでしょう」
新たな緊張状態で、安倍政権の外交力が試されている。