第1訴訟では他にも遺族弁護団の失策が露呈した。20年8月にFRIDAYが、遺族弁護団によって「聴取報告書」と題した書面が提出されていることを報じた。内容は19年8月頃に弁護団が聞き取ったHプロの元従業員2人と「愛の葉Girls」メンバーの供述であった。3人ともに押印を拒否したことで、陳述書をもらえなかった。そこで、当人たちの許可を得ずに提出するために、弁護団による「聴取報告書」という体裁をとったのだ。
しかも、その過程で陳述書への押印を渋るメンバーに「月9出演」という見返りをチラつかせていたことも露呈。月9とはフジテレビの人気ドラマ枠のことで、いわばアイドルの鼻先にエサをぶら下げた格好だ。この利益供与ともとれる言動をしたのが、遺族弁護団の佐藤大和弁護士でワイドショーにコメンテーターとして出演するなど、テレビ局との関係は確かにあるが、胡散くさい話にメンバーが応じることはなかった。無謀な交渉の裏側をジャーナリストが分析する。
「佐藤弁護士は紀州のドン・ファン事件でも登場しました。マスコミの誹謗中傷を抑えるべく、ドン・ファンの55歳年下妻(その後に殺人罪で起訴)の代理人になったのです。が、ドン・ファンの会社資金をかすめ取ろうとしたとして、妻とともに告発された中の1人になってしまった。その告発をしたのが渥美弁護士と松永成高弁護士でした。まさに、今回のHプロの代理人です。佐藤弁護士にしてみると、『農業アイドル事件』はリベンジに燃えていたのでは‥‥」
業務に私情を挟むとは思えないが、本誌は佐藤弁護士に確認すべく、第4訴訟の判決をはじめ一連の出来事について取材を申し込んだ。が、法律事務所の担当者は質問書の受け取りを拒否して「HPに記載されたこと以外はお答えしない」と言うばかり。そのHPとは、遺族弁護団5人が共同代表理事を務める「芸能人の権利を守る日本エンターテイナーライツ協会」のもので、〈正当な弁護士業務として行った訴訟提起及び記者会見であると考えており、今回の判決内容については断じて受け入れることができません。改めて判決文を精査し控訴のうえ争っていく方針です〉と記載されていた。同HPには遺族へのSNS上での誹謗中傷に厳正に対処している報告もあった。佐々木氏の次は遺族に批判の矛先が向いている。裁判の結果、誰も幸福になれない現状は、ただただ虚しいだけだ。