戦法に注文つくが菊地圭尚の奮起に期待
機動型として大成する選手にも、勝てない時期が必ずある。
「函館記念」(7月26日【土】~29日【火】)に出走予定のS級S班は浅井康太だけ。弥彦寛仁親王牌から中3日だけにS1上位の参戦も多くはないが、その分、波乱もある4日間になりそうだ。
シリーズの主役は浅井とともに、地元の菊地圭尚が務めることになる。
北海道のS1選手4人のうち、山田敦也、明田春喜も参戦するが、実績は菊地が断然抜けている。今年も宇都宮高松宮記念杯の決勝戦に進出。それも東日本勢は1人だけで、勝った稲川翔に競りかけた果敢な戦いぶりは称賛されていい。
競り負けて3番手で我慢し落車したのは、残念ながら追い込みとしての技量不足。競るなら腹をくくって競り落とすまでやり合うか、1度インを取って粘るとか、戦法はいろいろある。自力があるだけに研究してほしい。
記念が4日制になってから、地元・北海道勢の優勝はまだない。菊地はファンの熱烈な後押しに応えるために、心して戦わないといけない。
負けても、負けても逃げる三谷竜生に好感が持てる。101期では、ただ1人のS1。4月西武園記念初日特選では菊地1着、三谷3着だった。今年のGI4戦全てに出走したことは財産になり、徹底先行を貫けば後ろががっちりガードしてくれる。脚力が本物になるのはこれからだ。
さて、並びと展開。地元勢は飯野祐太─菊地─山田で北日本ライン。関東は池田勇人─芦澤大輔─神山雄一郎、南関は山賀雅仁─中村浩士の千葉両者。西日本は、中部の竹内雄作─浅井─林巨人、近畿は三谷─伊藤保文、そして九州は吉本卓仁─合志正臣。他では明田と内藤宣彦の勝ち上がりがある。
主導権は三谷、竹内、吉本で激しい取り合いになる。池田が早めに動くが、飯野のカマシもありそうだ。
本命は、菊地の奮起に期待する。飯野が出切れなくても自力がある。対抗は浅井。竹内しだいで逆転がある。混戦待ちの芦澤も差はない。
伏兵は、高市訓但(愛媛・97期)、藤井昭吾(滋賀・99期)、保科千春(宮城・100期)の3選手。高市は特進、藤井は定期昇級で初のS級。保科は2期目も若手が台頭してこなければ、競輪界は活性化しない。大敗を恐れず戦えば、結果はついてくる。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。
◆アサヒ芸能7/22発売(7/31号)より