3大会ぶりにWBC優勝に貢献した岡本和真、大勢、戸郷翔征に、巨人のチーム関係者から、不安な声が漏れ始めている。3選手のメジャーリーグ熱がイッキに高まりそうな気配があるからだ。
今回のWBC取材に関わったベテランのスポーツ紙記者が言う。
「3選手ともこれまで、あまりメジャー移籍の話を公言したことはありません。ところが世界を相手にプレーして、変わるのは間違いない。ダルビッシュ有や大谷翔平に触れたことで、自分も同じ舞台でプレーしたい気持ちが強くなっても不思議ではありません。メジャー移籍をよく思っていない巨人としては、やっかいな問題です」
事実、今大会で岡本は決勝のアメリカ戦の本塁打を含む2本塁打、7打点、打率3割3分3厘と大活躍。右の大砲として機能した。
また、4試合に登板して防御率0.00の大勢や、決勝戦では今大会の本塁打王ターナーを落ちるボールで空振り三振に仕留めた戸郷の存在も、メジャー関係者の間でクローズアップされている。
長年、MLBを取材してきたスポーツライターは、
「メジャーでも、右の大砲を欲しがる球団は多い。飛距離が出る岡本は魅力です。大勢も戸郷も、メジャーの投手として必要な、精度のいい落ちるボールがある。3選手とも年齢が若いですしね」
巨人はこれまで、海外移籍を歓迎してこなかった。松井秀喜氏のような海外FA権行使は別として、ポスティングでの移籍には消極的で、成立したのは山口俊のケースぐらいだ。菅野智之もチームとして渋々OKしたが、結局は話がまとまらず、不成立に終わっている。巨人なら大谷翔平や吉田正尚のようなポスティング移籍は実現しなかったに違いない。
だが、スーパースター軍団のアメリカにも通用したことで自信を深めた3選手が、このままおとなしくしているはずがない。
「3選手とも、今後の巨人を背負って立つ存在。メジャー移籍を持ち出せば、荒れることは間違いないでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
自信をつけてチームに戻ってくるのはいいが、痛しかゆしの面もあるのだ。
(阿部勝彦)