WBC優勝で「掘り起こされているSNS」がある。2014年12月21日を最後に投稿が止まっている「村上むねたか」。これがWBC決勝で同点本塁打を放った村上宗隆の投稿ではないかとされているのだ。
村上のインスタ公式アカウントは別にある。Twitter上の「村上むねたか」のアカウントが村上本人か、なりすましなのか、本人とヤクルト球団からの公式コメントはまだない。ただ、熊本シニアリーグ元主将というこの野球少年のTwitterには、山田哲人愛と大谷翔平愛が詰まっているのだ。
2014年11月14日の投稿には、この日、札幌ドームでの日米野球第5戦に先発した大谷翔平に対し、
「大谷きたーーーー! みせろ164!w」
と、ひらがなを交えて応援。9年後、村上がサードベースから見守った9回表二死、2─2のカウントから大谷がアメリカの最強打者マイク・トラウトに投げた5球目のストレートは、163.5キロ。時空をも超えた「むねたか君」の応援に、このアカウントの存在を知っているヤクルトファンからは次々と返信が寄せられた。スポーツジャーナリストが村上と大谷の「因縁」を解説する。
「大谷がエンゼルスと契約した2017年オフ、村上はまだ高校生でした。エンゼルスに移籍する大谷と入れ替わるように、ヤクルトに入団した。WBCの全試合を見直すと、大谷が日本代表に合流した時点で、村上は大谷と目を合わせず、下を向いたまま。大谷が村上にバッティングのアドバイスをしても『調子が悪くなる』と発言して炎上しました。が、裏を返せば、中学生時代からの憧れだった大谷を前に萎縮しきっていたのです」
憧れの存在だった大谷と食事会をした翌日のメキシコ戦で、ようやく村上は覚醒した。当時の「むねたか君」は巨人ファンだったにもかかわらず、山田哲人の活躍をリツイート。その思いは今も変わらず、WBC優勝が決まった途端に抱擁し合ったのは「師匠」と呼ぶ岡本和真と、その山田だった。
帰国した「むねたか君」は「村神様」に戻って山田の後ろを打ち、師匠・岡本とペナントレースを戦うことになる。