「4月解散説」が、与野党内で拡大している。与党幹部が言う。
「確かに解散の風は吹き始めている。理由はまず、岸田文雄首相がウクライナを電撃訪問したこと。訪問前から岸田政権の支持率は前月より軒並み5%前後アップしていましたが、訪問によりさらにアップする可能性がある。さらに、冷え切っていた韓国との首脳会談成功やインドのモディ首相との会談など『外交の岸田』をアピールできたことが大きい」
そんな指摘とかぶる、野党側の発言がある。勢いのある参政党が3月22日に開いた記者会見で、神谷宗幣副代表が衆院の解散総選挙について触れ「4月から5月、解散があるのでは、という声が各方面から聞こえ出した」と警戒するコメントを発しているのだ。
だが4月解散となると、日程はかなり窮屈だ。5月の広島サミットの準備に加え、4月には統一地方選も控えている。また、公明党が総選挙と統一地方選が重なるのを嫌う事情や、政権足元では高市早苗経済安保相の放送行政文書を巡る圧力疑惑という厄介な問題も抱えている。そのため官邸関係者からは、
「今の情勢では6月解散総選挙が王道でしょう。5月のサミットをきっちり成功させ、さらに支持率を上げて万全の態勢で臨むのがベスト。4月に急いでやる意味がわからない」
との声も聞こえてくるが、政治部記者は「王道」をいかない可能性を指摘する。
「政治の世界、一寸先は闇で、何が起こるかわからない。例えばアメリカで起きた銀行破綻の余波がどう広がり、日本に波及するかは誰も読めません。岸田首相がそれを考えた時、ウクライナ電撃訪問同様、4月解散も完全否定はできません」
「聞く力」が特技という岸田首相の「ちゃぶ台返し解散」は近いのか。
(田村建光)