3月30日、千代田区番町の日本テレビ跡地に高層ビルを建てる計画の審議会が開かれた。以前も本サイトで報じたが(3月23日公開記事)、日本テレビは社屋移転後の跡地に90メートルの高さの賃貸用オフィスビル建設を計画している。地区計画では、高さ制限は60メートルだが、容積率を緩和して「再開発等促進区」を適用させ、90メートルの高層ビルを建てる計画である。これに対し、地域の住民らが「景観を失うことになる」として反対運動が繰り広げられているのだ。
この日に開かれた区都市計画の審議会には、学識経験者や区議などの審議員約20人が参加し、傍聴者は100人以上も詰めかけた。
委員からは「なぜここだけ90メートルなのか、説明が足りない」との発言があったが、「採決するべきではない」が多数となり、今後は学識経験者らが議論をし、その後に全体の審議会で協議することになった。次回は7月の予定である。
「日テレや計画を推進している区議としては、この問題が大きく報じられるのは大誤算だったと思います。静かに計画を進め、波風が立たないうちに計画を承認させる予定だったのですが、こんな状況では逆風が吹いてしまう。近隣にある大妻女子中高・大学および女子学院中高も反対を表明していますから、世間もその流れに添うようになると思います」(社会部デスク)
反対派は高層ビルの開発に伴ってこの地域が繁華街化する可能性があり、通学路の安全や住環境にも支障が生じかねない、と主張。このほか、町内会が町民の総意を聞く前に開発計画に賛成していたことも、不信感を募らせているようだ。ではどのような決着になるのだろうか。都市開発に詳しい弁護士に話を聞くと、
「京都市のような景観条例がしっかりしている所と違って、東京は開発優先の判決が多い。あとは日テレのイメージが問題になりますね。ゴリ押ししたという印象は、なんとしても避けたいところ。もし開発の許諾を握る議員がゼネコンと癒着していたとすれば、開発はアウトでしょう。ともあれ、裁判で決着をつけるしかないのでは」
景観か開発か、難しい問題はどのような結末を迎えるのか。