「絶対に許すことはできない計画です。なんとしても計画中止に持ち込むために、提訴しました」
こう語るのは、経営者育成の学校を運営する「グロービス」の堀義人代表だ。堀氏は東京・千代田区の番町地区に高層ビルを建設する計画に反対しており、グロービスは記者会見を行った。
この地区には、かつては日本テレビ本社やスタジオ棟などがあり、「日テレの街」として知られていた。現在の日テレは新橋に移転しているが、現在も土地・建物を所有しており、跡地に超高層ビルが建つ計画だ。
千代田区では建設に際し、60メートルの高さ制限がある。しかし、今回の高層ビル計画では、公共の広場などを整備する代わりに、容積率を緩和して高い建物が建てられる「再開発等促進区」を適用し、高さ90メートル以下のビルが計画されている。
「堀氏は(高層ビル計画に対し)意見を述べる機会を奪われた、などとして二番町町会と町会長を相手取り、慰謝料50万円などを求めています。ただ、これは慰謝料が目当てではなく、計画を中止させるために町会から攻めていく方法をとった、ということです」(社会部記者)
訴状によると、2019年以降に数度にわたって、グロービスが町会の理事に立候補したい意向を示したが、改選が行われないことなどを理由に、拒否されたとしている。
堀氏は記者会見で「町会長はあたかも住民の総意であるかのように計画を推進する発言をしているが、そもそも町会に対して会員が意見を言える機会がなかった」として「反対の人を排除している」と主張した。
「赤坂や六本木のような繁華街とは異なり、番町地区は歴史のある落ち着いた住宅地でもあります。そこに60メートル以上の高層ビルが建てば、街の雰囲気がまったく変わってしまうおそれがある。堀氏はブログで計画反対者の署名活動もしていますね」(前出・社会部記者)
「日テレの街」がガラリと変貌するのか、あるいは堀氏のような有志によって撤回されるのか、注目されるのである。