「てっきり高倉健が憧れの存在で、だから一文字もらったんだと思っていたのですが…」
芸能関係者がこう言って首をひねるのは、石倉三郎(本名・石原三郎)のことである。俳優・演出家の丈(旧芸名・小野寺丈)のYouTubeチャンネル〈丈熱BAR〉に石倉が出演し、芸名の由来を明かしたのを見て、意外だったと漏らしたのだ。
石倉は故郷の香川県から上京。アルバイトの休憩中に立ち寄った喫茶店で高倉と出会い、以降、その店で幾度となく顔を合わせることに。顔馴染みとなった高倉が石倉を席に招くと、役者を目指す石倉を「東映に来ないか」と誘う。
すると東映の演劇部に「石原」という事務員が既におり、紛らわしいので名前を変更することに。高倉の紹介で東映入りしたことから一字をもらって「石倉」とした。
「憧れの方だったんですか、健さんは」
小野寺の質問に対し、石倉はこう答えた。
「ううん」
当然ながら、小野寺は驚く。
「え、違うんですか」
「オレはあんな二枚目、関係ないもの。のり平、とん平、植木等よ!」
なんといきがかり上、一文字もらって芸名をつけたにすぎないのだと、石倉はアッサリ告白したのだった。
石倉が名前を出した「非二枚目」俳優は、「桃屋」のCMのキャラクターとしても知られる三木のり平、堺正章主演のドラマ「西遊記II」(日本テレビ系)で猪八戒を好演した左とん平、「無責任シリーズ」などクレージーキャッツの映画で名を馳せた植木等。
「いずれも昭和を代表する喜劇人でもありますね。言われてみれば、役者として売れる前の石倉は、レオナルド熊とお笑いコンビ『コント・レオナルド』を組み、世間を笑いで包んでいました」(前出・芸能関係者)
ビートたけしとも親交が厚いことで知られる石倉には、今もコメディアンの血が流れているようだ。
(所ひで/ユーチューブライター)