同様に五里霧中の道中を歩む指揮官がもう1人。巨人の原辰徳監督(64)である。3年ぶりのリーグ優勝、11年ぶりの日本一が至上命題のチームに悩みが尽きない。スポーツ紙デスクが苦しい内情を明かす。
「開幕投手を未知数と言ってもいい新外国人のビーディ(29)に託さざるを得ない前代未聞の“投壊”ですよ。開幕投手が内定していた菅野智之(33)は、右ヒジのハリを訴えて開幕メンバーから外れる体たらく。それだけに、原監督は『アイツには全部任せていたのによ!』と周囲に怒りを爆発させているみたい。ローテ候補だった山崎伊織(24)と堀田賢慎(21)の調整が出遅れているのもイライラの一端でしょう。昨オフに2人を宮古島の自主トレに同行させた、菅野の管理責任まで問われているんだとか」
そんな中、開幕を前日に控えた30日、異例の人事異動が発令された。球界OBが続ける。
「久保康生巡回投手コーチ(64)と石井昭男巡回打撃コーチ(67)が1軍に配置転換されました。表向きは、巡回コーチの登録では1軍ベンチに入れないため、イレギュラーに備えて登録を変更しただけのようです。ただし久保コーチは同郷、石井コーチは高校・大学の先輩という“縁故”。原監督の意向でチームに引っ張ってきた腹心です。それだけに、『コーチの誰かが粛清されるのでは‥‥』と選手たちの間にも不安の声が上がっています」
その兆しを察知してか、今季から名誉職に追いやられた桑田真澄ファーム総監督(55)への風当たりが強くなっている。
「その肩書き通りにファームの選手を指導する日々ですが、ある時、コーチ陣を集めてのミーティングで各選手たちの情報のすり合わせをしたらしいのです。ところが、球団スタッフから『勝手なことはしないでください!』ときつく注意されたそうです。原監督と対立して閑職に飛ばされた経緯があるだけに、警戒されているのでしょう。ついには“団結権”すら剥奪されてしまった」(球界OB)
とはいえ、原・全権監督の独裁政治はいつまで持つか。例年にないほど解説者たちの予想も芳しくない。Bクラスと見立てられたチームは、あらぬ憶測が飛び交うまでに迷走していた。そんなチームの救世主として急浮上しているのが、日本代表を世界一に導いた栗山英樹監督(61)である。原監督の信奉者として知られ、両監督間で選手の行き来も活発だった。
「原監督をサポートするGM職としての招へいです。19年シーズンに原監督が就任してからは『全権監督』として編成部門の統括も兼ねてきましたが、近年はFA選手などへの下交渉を担ってきた大手メディアの“懐刀”X氏も球界への影響力が薄れてしまいました。その点、大谷やダルビッシュ有(36)らをみずから口説いてドリームチームを作った、栗山監督ならばGMとしての手腕を疑う余地はない。5月の契約満了をもって打診する方向で計画が進められているといいます」(スポーツ紙デスク)
実は、栗山監督としても渡りに船のようで、
「21年に日本ハムの監督退任後、同チームのGMに就任するのが既定路線でした。ところが後任監督候補だった、稲葉篤紀GM(50)に問題が発生。一部で報じられた稲葉夫人と複数選手の夫人間で起こったトラブルの影響で、選手の心が離れてしまっていた。と同時に人脈にも乏しく、コーチを集めるのにも四苦八苦。結局、次期監督候補のまま、吉村浩常務取締役チーム統括本部長(58)のもとでGMに就くこととなり、栗山氏が宙に浮いたんです。原監督の首に鈴を付け、暴走を止めたい選手にとっては適した人選となるでしょう」(球界OB)
今年6月からはWBC世界一コンビで“セ界制覇”を目指すか。