長崎県佐世保市で起きた16歳女子高生による同級生惨殺事件から1週間余り。遺体を解体した動機を「人を殺してみたかった」と供述した逮捕少女の言動は、17年前に神戸で男児の首を屋外にさらした「酒鬼薔薇聖斗」少年と酷似していた。同性愛志向も指摘され、犯行直前には実父も強い恐怖を覚えていたという少女の「悪魔の素顔」とは──。
「友達のAさんと遊びに行くと言って外出した娘の行方がわからなくなった。娘の携帯も通じない」
長崎県佐世保市内の高校1年生・松尾愛和さん(15)の、海上自衛隊に勤める父親から、長崎県警佐世保署に110番通報があったのは、去る7月26日。午後11時過ぎのことだった。
捜査関係者が言う。
「愛和さんの両親は、娘の同級生の少女A(16)が、今年4月から市内の実家を出てワンルームマンションで1人暮らししていることは知っていました。ですが、その住所やAの電話番号などは知らなかったようです。また、2人とも未成年ということもあり、捜査員はまず、市内の高台にあるAの実家を訪ね、Aの両親に、娘に連絡を取るとともに居場所がわかったら、一緒に迎えに行くこともあわせて要請したんです」
そして、捜査員とAの両親がAの住む市内のマンションに到着したのが、4時間後の午前3時頃。佐世保署とAの実家、マンションは、5キロ圏内に収まる距離だが、
「実は、捜査員がAの実家を訪ねるとすぐ、Aの父親は激しく動揺して、顔面蒼白になった。不審に思った捜査員が両親に詳しく事情を聞くと、Aの複雑な家庭環境、これまでの奇怪な行動がわかってきた。そこで最悪の事態を想定し慎重に準備態勢を整えて、マンションに向かったんです」(捜査関係者)
Aの父親が、オートロックのマンションの1階でインターホンを鳴らすと、Aはすぐに降りてきた。
「インターホンのボタンを押す父親の手は震えていましたが、大きめのTシャツとハーフパンツという姿で現れたAは、落ち着き払っていて、愛和さんについて『知りません』と答えた。そこで捜査員が、『念のため部屋の中ば見せてくれんね?』と言うと、Aは無表情のままでうなずいた」(捜査関係者)
午前3時20分頃、Aの部屋に踏み込んだ捜査員が目にしたのは、10畳ほどの部屋に置かれたベッドで、血だらけのシーツの上に横たわった愛和さんの変わり果てた姿だった。
頭部と左手首が切断され、腹部も大きく切り裂かれ、臓器がはみ出ており、ベッドの周辺には、のこぎりやハンマーなどとともに、食べ物や飲み物も散乱していた。
程なくAは、自分が愛和さんを殺害したことを認め、その後の取り調べに「一度人を殺してみたかった」「愛和さんには恨みはない」と供述し、反省や謝罪の言葉は口にしなかったという。
2人は中学校時代からの同級生で、アニメという共通の趣味もあり親しかった。その友人に手をかけ、前述のように父親をも動揺させるほど「恐怖の存在」となっていたA。いったい何が彼女を「悪魔」に変えたのか。