「出会いと別れの季節」と言われる春。女子アナたちもまた、同じである。
昔から「私、女子アナになる!」と周囲に公言し、晴れて夢を叶えた多香子(仮名)は、地方テレビ局に勤務する。地元を離れて、今年で4年目になるが、
「今春からは、夕方のニュース番組でサブキャスターを務めることになりました。地方局ってほとんど自社制作番組がないので、夕方の報道番組はいわば、最も顔を売ることができる枠。先輩後輩を問わず『出演したい』と、枠の奪い合いがすさまじいです」
多香子の武器は、的確なアナウンス技術。ゆえに、新人時代には賞をもらった。
「たくさんの人が見ているわけではないローカルテレビ局でも、表彰されたら社内での見る目は確実に変わる。私自身も『もっと頑張ろう』と、仕事に打ち込むようになりました」
だが、コトはそううまく運ばないのが世の常。多香子には弱点もあった。
「実は仕事中に原因不明で倒れたことが、何度かあります。大変だったのは、ロケ先で倒れた時。すぐさま救急搬送されて一命をとりとめましたが、局上層部は他部署への配置転換を検討していると聞きました」
ピンチに陥った多香子。だが自身を救ったのは、己の仕事だった。(続く)