鹿島アントラーズが泥沼の4連敗を喫し、15位に転落。開幕前には鹿島を優勝候補に挙げていた評論家やメディアもあっただけに、いったい何が起こっているのかと、首をかしげたくもなる。
鹿島は今シーズンに向けて、積極的な補強を行った。川崎から知念慶、広島から藤井智也、町田から佐野海舟、そしてセンターバックにはニーム・オリンピック(フランス)から植田直通、G大阪から昌子源と、即戦力を獲得。
最も大事な補強は、チームの得点源だった上田綺世の抜けた穴をどうやって埋めるかだったはず。ところがフタを開けてみれば、知念を左のウイングに置き、上田のポジションであるワントップには鈴木優磨が入った。
上田は真ん中で構えるタイプだが、鈴木は自由に動き回るタイプで、上田の抜けた穴は埋まっていない。右ウイングに入った藤井のスピードも、最大限に生かせていない。期待の若手だった佐野は、ケガで離脱。頼みのセンターバックは、この4試合で10失点。補強した選手がうまく機能していない。それは大きな誤算だろうし、岩政大樹監督の采配にも問題があるのだろう。
もうひとつ気になるのが、外国人選手の起用法だ。鹿島には6人の外国人選手が所属しているが、先発で使われているのはディエゴ・ピトゥカだけ。強かった鹿島には必ず、チームの中心になる外国人選手がいた。ピトゥカ以外の外国人選手は使えないのか、使わないのか。使えないのであれば、ムダとしか言いようがない。
先制されるとバタバタし、慌ててミスを連発する。ここ数試合はそういう展開が多く、流れがよくない。
4月1日の広島戦で逆転負けを喫し、試合後にサポーターが選手バスを囲んだ。4月9日の柏戦では、岩政監督が「今日は1時間半かけて移動してきて、体が動かなかったのかもしれない」と移動疲れを敗戦の理由に挙げるなど、20冠を達成した名門の監督とは思えない発言をしている。4月15日の神戸戦後は鈴木優磨がサポーターと話し合うが、平行線。
この流れを変えるには、大きな決断が必要だ。岩政監督が就任しても結果が出ない。どういうサッカーを目指しているのかも見えてこない。補強しても結果が出ないのであれば、監督を代えるしかないと思うのだが。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。