中国の習近平国家主席が、日米韓の安全保障対話への牽制を激化させている。
習主席は4月に入り、広東省広州の韓国LGディスプレー生産基地を約1時間にわたって訪問。「外国投資家は機会をつかんで中国に来てほしい」などと語り、韓国企業に対する協力の意思を明確にしたという。
習主席が外国企業の工場を視察するのは極めて異例。その背景にはアメリカとの覇権争いの中で韓国を引き寄せ、日米韓の結束に揺さぶりをかける意図があるとみられている。外交ジャーナリストが語る。
「韓国経済は現在、半導体輸出の不振もあり、危機的な状況に陥っています。経常収支は1月、2月と連続赤字で、特に対中の輸出減少が大きく響いているんです。下半期の回復は厳しいという専門家の指摘があり、尹錫悦大統領の悩みの種となっています」
習主席は、そんな韓国の弱みにつけ込もうとしているのだ。
「中国離れが進む韓国の経済界にメリットをチラつかせ、もう一度、自国に目を向けさせようという狙いです。韓国企業を取り込んだ上で政治面でもイニシアチブを握り、日米韓の連携に楔を打つ。友好的な顔はまやかしにすぎません」(前出・外交ジャーナリスト)
台湾問題の緊張が高まる中、韓国が骨抜きにされるかもしれない。
(ケン高田)