GWにキャンプやハイキング、登山や釣りなどを計画している人は少なくないはずだ。だが、アウトドアフィールドには、北海道のヒグマや本州以南のツキノワグマなど、人を襲う可能性のある猛獣がうろついていることを忘れてはならない。
事実、ここ数年はキャンプ場でテント泊をしている時、ハイキングコースを散策している時、渓流釣りをしている時などに、クマに襲われる事故が急増している。また、ほとんどニュースにはならないが、登山道でクマに出くわした、藪の中から唸り声が聞こえた、などの「ヒヤリハット事案」も数多く報告されている。
中でもGW期間中のこの時期は、いつにも増して警戒が必要だ。クマの生態に詳しいネイチャーガイドも、次のように注意を呼びかけている。
「春から初夏にかけては、冬眠中に子供を産んだ母グマが、まだ幼い子グマらを引き連れて、旺盛に活動する時期です。本来、クマは臆病な動物なのですが、子連れの母グマは別モノ。運悪く母グマと子グマの間に立ち入ってしまったら、ほぼ間違いなく母グマの襲撃を受けるハメになる。そして多くの場合、母グマの一撃で命を落とすことになるのです」
クマは逃げる人を追いかける習性を持ち、最大時速60キロで走る脚力も有している。また、子連れの母グマではなかったとしても、鉢合わせの形で遭遇した場合、臆病な性質であるがゆえに、パニック状態に陥ったクマに襲われる可能性が高くなるというのだ。
加えて、最近は人馴れして人を恐れないクマ、人肉の味を覚えてしまったクマも増えている。国や自治体は「クマ対策には熊鈴を」と呼びかけているが、このようなクマたちには全く効果がない。それどころか、人食いクマの場合、熊鈴は自ら「エサが歩いていますよ」と、触れて歩いているようなものだというのである。
ならば、どうすればいいのか。前出のネイチャーガイドは、
「万が一の局面に備えて、トウガラシを主成分とする、市販の『クマ撃退スプレー』を携行するのもひとつの手には違いありませんが」
としながら、次のように断言した。
「自治体が公表している情報などをよく調べて、少なくともクマの目撃情報が相次いでいるエリアのアウトドアフィールドには立ち入らないこと。対策はこれに尽きます」
それでもクマに襲われるリスクをゼロにできないことは、言うまでもない。アウトドアフィールドは遊園地ではないからだ。