「函館記念」◎新田祐大/○郡司浩平/▲守澤太志/△犬伏湧也/小倉竜二/東口善朋/大森慶一/宿口陽一/中本匠栄/野口裕史/嘉永泰斗/吉田有希
好調な自力型がそろいゴールは横一線。勝者は写真判定で決まることがある。
「函館記念」(5月13日【土】~16日【火】)はここ2年、西日本勢が制している。北日本勢には不名誉な結果であり、とりわけSS班の2人は満を持して参戦する。ただし、チャレンジャーには好調選手が目白押し。3年連続で波乱の決着があってもおかしくない。
史上4人目のグランドスラムを達成した新田祐大が、変幻自在の立ち回りで今年3度目の記念優勝を飾るとみた。北日本は新田─守澤太志─大森慶一で並ぶ。後方からのまくりでも7番手だが、今の新田は積極策で戦っており、横綱相撲で快勝劇まである。
逆転候補は位置取り巧みな郡司浩平。南関ラインで徹底先行の野口裕史につけられる。新田の踏み出しに合わせて番手まくりで勝ち負けに持ち込む。
あとは差し脚鋭い守澤と、進境著しい犬伏湧也は軽視できない。横一線でゴールに飛び込み、写真判定での決着もありそうだ。
大森は祖父と祖母、引退した父で師匠の芳明さんに続く競輪一族の3代目でもある。アマチュア時代に有望視され、S級戦が多いとはいえ、堅実なタテ脚で健闘している。もつれるようなら車券に絡むシーンがあるのではないか。
先行争いを待っているのが嘉永泰斗だ。すでにトップクラスに入りつつある。中本匠栄との熊本コンビで大暴れもありそうだ。
【大穴この1車】
武藤龍生(埼玉・98期)。
4月に演出した万車券は小田原記念(〈1〉〈2〉〈5〉〈1〉)最終日の5万円超と、優勝した奈良(〈2〉〈2〉〈1〉)の決勝戦12万円超。どちらも33バンクでは不利なライン3番手からの差し切りだった。3月名古屋(〈3〉〈3〉〈4〉)の準決勝5万円超、1月大宮記念(〈2〉〈4〉〈7〉〈1〉)の最終日11万円超があるように、バンク不問の大穴メーカー。ゴール前でコースを探し出し、高配当1本は出す。
【狙い目の伏兵3人】
川津悠揮(北海道・96期)にとっては、ここは晴れ舞台。好位を主張できるぶん、戦いやすい。初日は1着から手広く流したい。
GIウイナーの晴智(S2)が父で師匠の渡邉雅也(静岡・117期)が本格化してきた。まくりは強烈で、よく連係する北日本勢がつければ圧勝劇もある。
渡邉と同期の伊藤旭(熊本)は、7月から1班に昇班する。先行で台頭してきたが、すでに自在脚も持ち合わせている。ファイナルまで勝ち上がる大活躍に期待したい。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。