「奈良記念」◎脇本雄太/○新田祐大/▲古性優作/△三谷竜生/佐藤慎太郎/平原康多/諸橋愛/和田健太郎/山田久徳/太田竜馬/松井宏佑/菊池岳仁
まくりが飛んでくるのはわかっていても、先頭に立とうとするのは徹底先行の本能でもある。
「奈良記念」(2月2日【木】~5日【日】)は、SS班5人とスピード自慢の機動型がそろう。残り3周の青板から戦闘開始が連続する、33バンクにふさわしい4日間になりそうだ。
昨年は7着に敗れた脇本雄太が、圧巻まくりで雪辱を果たす。先行争いは必至だけにペースが速くなるのも有利。後位を古性優作─三谷竜生が固めれば、後方に置かれても7番手。好機に仕掛けて決着をつける。
脇本を相手に自力で戦えるのは、新田祐大しかいない。かつての単調な後方一気から動きは多彩になっている。先まくりで好勝負に持ち込む。
あとは差し脚鋭い古性と、地元代表の三谷までとみた。
印は回らなかったが、山田久徳は軽視できない。一昨年の覇者であり、昨年は1月高松と10月松阪の記念を制しているように、寒い時期は走る。記念は松阪以来4カ月ぶりで、照準をここに合わせている。展開しだいで出番はある。
競輪をわかってきた菊池岳仁が、平原康多の前で上位陣に真っ向勝負を挑む。有力候補には入らなかったが、勝ち上がれば見せ場は作る。
【大穴この1車】
久米良(徳島・96期)。
記念並みの強敵相手にみごと、頂点に立った前走の小倉(〈3〉〈1〉〈1〉)では、準決勝11万9940円、決勝戦4万4050円を演出。どちらも有利とはいえない位置からの快勝劇だった。昨年の記念でも平原を7着に沈めた11月四日市記念の2次予選1着が3万9960円。四国に強力先行が次々に登場するまで頑張ってきた追い込み選手。巧みなコース取りで一発がある。
【狙い目の伏兵3人】
北井佑季(神奈川・119期)が小休止している。破竹の勢いで台頭したものの厳しくマークされるようになったからだが、強敵相手だった前走の別府で(〈1〉〈1〉〈3〉)と好走。まだまだ見限れない。
北井と同期の渡口勝成(山口)は今期S級入り。初戦の高松(〈6〉〈2〉〈1〉)では逃げとまくりで2連対と結果を出した。3歳上の姉はガールズ選手の渡口まりあ。9車戦に慣れる後半に期待したい。
祖父から続く3代目レーサーの林慶次郎(福岡・111期)は、1月立川記念(〈1〉〈6〉〈8〉〈1〉)であげた2勝の内容がよかった。兄は林大悟(1班)。2次予選突破が目標になる。
山口健治(やまぐち・けんじ):1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。