社会

居酒屋「庄や」との7年闘争を過労死社員の父親が激白(1)“役割給”が“残業代”だった

 2014年の「ブラック企業大賞」に、居酒屋チェーン大手で「庄や」などを全国展開する「大庄」がノミネートされた。注文すると、「ハイ、よろこんで!」の返事が飛び交う明るい雰囲気とは裏腹に、信じられない低賃金で過酷な労働を強いている実態が浮かび上がったのだ。入社4カ月で過労死した元従業員の父親が無念の思いを激白した!

「ブラック企業」の頂点を極める「ブラック企業大賞2014」が来る9月6日に発表される。弁護士やジャーナリストらが過酷な労働環境で社員を病気や死に追いやる「ブラック企業」を逆に表彰し、その実態に注目してもらおうと始まった同賞は今年で3回目。

 昨年は社員が過労自殺した、居酒屋「和民」などを展開する「ワタミフードサービス」が大賞を受賞したが、今年も居酒屋チェーンがノミネートされた。「庄や」「日本海庄や」「やるき茶屋」など全国に約860店舗を展開する「(株)大庄」である。

 グループ各店では、店に入ると、「ハイ、よろこんで!」と明るい従業員の声が飛び交う。だが裏腹に、従業員が「洗脳」されているのではないか、との疑いさえ持ちたくなるような実態が、このノミネートで明らかになったのだ。

 大庄グループの一つ、「日本海庄や」。政界の重鎮・小沢一郎衆院議員が赤坂の店舗をヒイキにしていることをご存じの方も多いかもしれないが、7年前、大庄に入社し、滋賀県大津市にある「日本海庄や・石山店」の調理場に配属された吹上元康さん(享年24)は、わずか入社4カ月で過労死したのだ。

 本誌は京都市内にある吹上さんの自宅を訪ねた。

 父親の了さんが悔しさをにじませながら、以下、語ってくれた。

「うちはねえ、西陣織の帯を作る仕事をしていましてね。息子は跡取りなんです。でも、『他人の飯を食うのもいい。最後は惜しまれながら、辞めて戻ればええやないか』と思い、息子が大学(京都産業大学)を卒業後、大庄に入社することを許したんです。しかし、こんなひどい会社とは夢にも思わなかった」

 大庄は一部上場企業。元康さんが入手した採用情報によると、当時の新卒の基本給は12万3200円。それに役割給が7万1300円で計19万4500円が最低支給額だった。

「給料も悪くないし、会社のホームページには社長が赤十字に寄付して皇后陛下から表彰されただの、大きな災害で義援金を送っただのと書いてある。これはええ会社やと、息子は、入社式で自分から進んで新入社員を代表して挨拶したほどでした」

 ところが、会社のウソがバレ始めるのに時間はかからなかった。

 会社からは労働時間月173時間制が示された。午前10時出勤で夜11時半まで働き、月173時間を超える分は「残業」となる。

「毎日、9時までには店に入り、帰るのは終電。帰宅するのは夜の0時半頃。食事をして寝るのは午前2時頃で、朝、風呂に入って食事をしていました。睡眠はおおむね5時間くらいでしたかね。そんな勤務状況が続いていましたので、本人は19万に加えて残業代を入れると、給料はかなり多いはずだと期待していたみたいです。でも、2カ月後の研修で、給与の仕組みを教えられ、『役割給』というのが実は、あらかじめ組み入れていた80時間の残業代だとわかった。息子は愕然としていたんと違いますか。私や家内には絶対、給与の明細を見せませんでしたもんね」

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