愛媛の市営住宅の押し入れから遺体で発見された家出中の17歳少女。地元では「クスリ中毒」で知られた36歳の女に1年以上も軟禁・暴行され続け、女の長男にはある暴力的な行為までされていたという。近所では少年少女のたまり場として有名で、「治外法権状態」だった3DKで繰広げられた地獄絵図とは──。
「近所で見かける時は、先頭を派手な服装の恵さんが歩き、その後ろに娘たちが続き、いちばん後ろを歩いている大野さんが両手に買い物袋を持たされていた。主従関係がハッキリしていたようで、小学校低学年の三女が命令口調で大野さんにしゃべりかけると、彼女は黙って従っていました」
近隣女性がその光景に「違和感を覚えた」と語るこの母娘と少女こそ、凄惨な事件の関係者たちだった。
去る8月15日未明、窪田恵容疑者(36)一家が住む愛媛県伊予市の市営住宅──周辺住民からの通報で駆けつけた伊予署の署員が和室の押し入れから、松山市の無職・大野裕香さん(17)の遺体を発見。死体遺棄容疑で逮捕されたのは、無職の恵容疑者と長男のA男(16)、A男の友人である18歳と16歳の土木作業員だった。
毛布にくるまれ、押し入れに隠された裕香さんは見るも無残な姿だった。
「紫色に変色した顔は大きく腫れ上がり、歯は前歯1本を残して全て折れていた。肋骨も何本か折れ、死因は内臓破裂による多量出血だと思われます。遺体の全身に多数の皮下出血があり、一部はかなり以前のもので、日頃から長期にわたって暴行されていたのでしょう」(捜査関係者)
窪田家は、恵容疑者とA男、1歳年上の長女B子、A男の年下の次女C子、三女D子の5人暮らし。裕香さんは約1年半前から、一家が住む事件現場の市営住宅に居候していた。そして、この3DKには少年少女が毎晩のように10人以上出入りし、近所からは迷惑がられていた。
「夜中になるとバイクの爆音を響かせたり、自転車で若い子たちが集まってくる。深夜2時頃まで騒いでいて、ベランダで花火をしたり大声で歌ったり叫んでいるので、うるさくて寝られないことがよくありました」(近隣女性)
一家の主である恵容疑者は子供たちを出産後、10年ほど前に離婚。その後、彼氏は何人もいたが籍は入れていないという。過去には覚醒剤使用の逮捕歴があり、恵容疑者を知る少年は印象についてこう話す。
「友人たちの間では、『(恵が)シャブ中だから近づかないほうがいい』って話が出たこともあります。礼儀正しくないヤツには包丁をブン投げてきたこともあり、危ない一面もあった。だけどみんな遊ぶ場所がない時は、あそこに(窪田家に)行って、くだらない話をして過ごしていた。恵さんは目鼻だちがはっきりして歌手の倖田來未似の美人。肩口にタトゥーがあってイケイケな感じ。仕事は何をしているかわからなかった」
そんな若者たちの“たまり場”に足を踏み入れたことで、裕香さんは地獄に引きずり込まれていく。