今やすっかり定着した感のある「路上喫煙禁止地区」。愛煙家にとっては実に肩身の狭い世の中になったものだが、自治体はその見返りに「公共喫煙所」の設置を進めている。だがその実態たるや、「非人間的」としか言いようのない酷さなのである。
首都・東京のド真ん中に位置する千代田区の公共喫煙所も、例外ではない。
例えばJR水道橋駅近くの裏路地にひっそりと設置された公共無料喫煙所「paspa水道橋」を訪ねてみると、その中は詰めかけた喫煙者でスシ詰め状態。煙もうもうで、奥にいる人の顔が霞んで見えない、といった有様なのだ。
当然、喫煙所の外は路上喫煙禁止地区。そのためか、喫煙所内の煙を排出する換気扇の類は見当たらず、循環型の空気清浄機がもの凄い唸り声を上げるばかり。正直、ガス室にでも入れられて、タバコを吸わされているような気分だった。
その場に居合わせた愛煙家も、一様に不快な思いをしていたようで、話を聞くと、以下のような激しい怒りの声が次々と飛び出したのである。
「会社が近くなのでよく利用していますが、5分もしないうちに気持ちが悪くなります」
「初めての利用ですが、こんなに酷いとは。青空の下でタバコが吸いたいです」
「これでは路上喫煙がなくならないのもわかる。千代田区は何を考えているのか」
「オレたちは1本吸うたびに、クソ高い税金を払っている。この仕打ちは許せない」
「喫煙者は人にあらず、とでも思っているんでしょう。ハッキリ言って、差別です」
日本は今、外国人観光客の誘致に躍起になっている。その外国人観光客の目に、公共喫煙所の光景はどのように映るのだろうか。
いずれにせよ、この国に健全な「分煙の思想」は存在しないようだ。