社会

灘と開成の秀才が「東大医学部受験を回避し始めた」のは医師が人工知能にとって代わられるから

 これぞ、春の椿事──。

 今年の大学入試、東大合格者ランキングが出揃った。岸田文雄総理の母校たる開成高校や、高校生クイズの常連でおなじみ灘高、麻布高校など、東西有名進学校が上位を占めるものだが、この数年、開成高校で異変が起きている。

「実は『東大理III離れ』が起きているんです。東大入試の中でも群を抜いて最難関と言われるのが、4年制大学の教養課程にあたる『理科3類』、いわゆる理IIIです。大学3年生から医師を養成する医学部医学科の定員は110人。そのうち100人の募集枠が理IIIに割り当てられているので、世間一般に理III=東大医学部と解釈されています。今年、開成高校から理IIIに合格者したのは、わずか3人。2020年までは15人から10人の合格者を出していたのに、2022年に6人、今年はその半分にまで激減しました」

 こう話すのは、開成OBの外科医だ。開成の代わりに桜蔭高校が理III合格者数1位になったが、単に女子学生や新興進学校が台頭しているわけではないという。

「開成の東大合格者数自体は、むしろ伸びているんです。前年比30人増の148人で、特にIT系の学科に進む理科1類の合格者が増えました。なぜかといえば、今どきの神童は『自分が50歳になった頃に、医師という仕事はなくなっている』と考えているからです」(教育産業関係者)

 いったい、どういうことか。学生たちは次のように、ハッキリ言うのだという。

「わざわざ難易度の高い医学部、法学部を目指したところで、医師や弁護士、裁判官にはリスクがつきまとう上に、少子高齢化で人口減少が進む中で、パイの奪い合いをするだけ。何の展望もない。果ては人工知能に仕事を奪われる。だから人工知能の分野に進みたい」

 これは先の外科医が、愛息を開成に通わせている同窓生から聞いた話だという。

 天才肌が多い灘高校でも、理IIIは敬遠される傾向にある。30年後の日本は氷河期世代=団塊ジュニア世代が80歳を超え、人口は激減しているのだから「職を奪われる側」ではなく「職を奪う側」に立つという発想は、秀才ならでは。受験生の人間性や適性を無視し、勉強ができるからというだけで「医学部至上主義」だった今までが異常だったと言えるだろう。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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