あの歯に衣着せぬ辛口解説を聞くことができない──。
3月場所に引き続き、角界のご意見番こと北の富士勝昭氏が、NHKの大相撲テレビ中継の解説を休んでいる。角界関係者が病状を解説する。
「どうも心臓の具合が芳しくないらしい。NHKは『プライバシーに関することなので、お答えかしねる』と具体的な症状こそ公表していませんが、現在は療養に専念せざるをえない状況。当然ながら、復帰のメドは立っていません。16年末に不整脈の手術をして、翌17年1月場所の出演が見送られて以降、持病の腰痛で中継を欠席することはあれど、新型コロナウイルスを含む大病を患うことはなかったのですが…」
代わりに正面の解説席に座る機会が増えたのが、舞の海秀平氏だ。現役時代は「技のデパート」「平成の牛若丸」の異名を持つ人気者だったが、解説者としては「顔じゃない」と言わんばかりに、評判がよろしくない。
「『おまえが言うな』という類の批判が溢れ返っています。何かしら講釈を垂れようにも、現役時代の最高位が『小結』なだけに、説得力に欠けてしまうのかもしれません。特に横綱や大関にまつわる批判をするたびに、プチ炎上を繰り返している」(前出・角界関係者)
そんな中、ファンから待望論が持ち上がっているのが、元横綱・貴乃花光司氏だが、相撲協会との距離感に問題を抱えている。相撲部屋関係者が言う。
「ガチンコ相撲で一時代を築いた人気力士なのは間違いない。しかしながら、現役引退後の親方時代に、協会を引っかき回したイメージが強すぎる。2010年の理事選で二所ノ関一門を割って出馬し、当選した際には『相撲界の革命児』などともてはやされながら、具体的な改革案を自ら示すことはなかった。しかも、横領疑惑があった外部スタッフを担いで、八角理事長(元横綱・北勝海)率いる執行部と対立。そのまま18年に協会を退職し、完全に袂を分かってしまいました。現在の八角体制が続く限り、NHKの大相撲中継に呼ばれることはないでしょう。むしろ『ABEMA』での解説に定評のある、兄の花田虎上氏が呼ばれる可能性はある」
同様に、相撲協会との相性が良くない人気力士がもう1人。
「タレントになった豊ノ島大樹ですよ。ドラマやバラエティー番組に出演する人気者なのに、協会での評判はサッパリ。引退後に年寄り名跡『井筒』を借りて今年1月まで協会に残っていましたが、別の年寄名跡が融通されることもなかった。とはいえ、テレビ業界の人脈に明るいだけに、大相撲中継以外の仕事は絶えません。結局は、流暢な語り口と耳触りの良い声質が評判の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)や九重親方(元大関・千代大海)が重用されることになるのでしょう。協会内で調達するのに越したことはありませんからね」(前出・角界関係者)
大物不在の穴は、すんなりとは埋まりそうもない。