320万人──厚生労働省の「患者調査」による2011年の日本の精神疾病患者数である。東京の人口の実に3倍もの人が苦しむ深刻な病気となったが、なかでも顕著なのは「うつ病」だ。同調査によれば、05年からうつ病患者は90万人を突破する時代になった
「平成10年(2000年)以来12年連続で3万人を超える深刻な事態となっている。先進7か国の中では、我が国の自殺率は最も高く、15歳から34歳までの若い世代の死因で自殺がトップなのは我が国のみである」
と、10年版の厚生労働省「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」の「とりまとめ」はその状況を伝える一方、「薬物治療のみに頼らない診療体制の構築」を計っている。
日本において深刻な国民病となった、「うつ」と戦う方法はあるのか──。
実は「うつ」と「不眠」は密接な関係にある。睡眠障害は「うつ」の基本症状で、患者の9割が「眠れない」と訴えるという。また「不眠」の症状を持っていると、「うつ」に発展する危険性があることもわかってきた。
つまり「良く眠れる」ことは「うつ」撃退への第一歩と言えよう。
芥川賞作家で僧侶の玄侑宗久氏は著書「『いのち』のままに」で、「瞑想」を応用した「不眠」対策をこう紹介している。
「目線をやや上にして左右に揺れている状態で、人は眠ります。ですから眠る前にそうしておけば、否応なくスムーズに眠れるのです」
著書内ではこうした状況にもっていくための具体的な方法が図解付きで説明され、もう一つ睡眠に重要な要素である「脱力」の方法についても触れている。
秋の夜長により深い眠りを得るために、こうしたことを試してみるのはどうだろう。