9月8日、「自殺未遂再発」を防ぐ方法を研究していた厚労相の研究班が、自殺未遂者に対してケースワーカーが生活や困りごとなどの相談を定期的に行うと、再度自殺をするリスクを減らすことができると発表した。
「自殺未遂者」は自殺をするリスクの最も高い人たちと考えられている。今回の場合は、2006~09年に救急救命センターに搬送された941人の自殺未遂者に対して6カ月調査が行われた。通常の治療を行うグループと特別支援プログラムを行うグループにわけ、再度自殺を試みた人数を比較したのだ。
再度自殺を試みた人は通常治療で12%、支援プログラムを受けた人で6%と実に倍の開きがあった。効果が顕著にあったのは、「女性」や「40歳未満の若者」だ。
研究代表者である横浜市立大精神医学部門の平安良雄教授は、発表時にこう話した。
「支援プログラムが広まることで実効性のある未遂者支援につながることが期待される」
この調査は、救急医療を対象に行なっている。注目すべきは、自殺には通常の治療ではなく、それにあった特別なケアが確実に効果を持つということだろう。
自殺リスクを下げることは日常のケアで可能なのではないだろうか──
芥川賞作家で僧侶でもある玄侑宗久氏は著書『いのちのままに』で、「瞑想することによって考えない時間を作ろう」と解説している。死にたいと思うのは頭だけで、体は死ぬ気なんて全くない。死のうと思って海に飛び込んでも、必死にもがいて助かろうとする。これが「いのち」の素直な反応で、瞑想によって本来の「いのち」、心の自由をとりもどせるというのだ。
自殺最前線の調査現場から報告された、ケア効果の意義。最前線にいない一般の人たちも頭だけで考えないで、もっと体の声に耳を傾けることで、防ぐことが可能なのではないだろうか。