阪神タイガースは交流戦前の最後の3連戦で、巨人に3連勝。今季2度目の7連勝を飾って、貯金は16となった。2位DeNAとの交流戦前のゲーム差6は、交流戦導入以降では両リーグ最大差となった。首位独走態勢に入り、交流戦へと突入する。スポーツ紙デスクが言う。
「阪神は両リーグ一番乗りで30勝到達。45試合で30勝は、星野仙一監督の下、18年ぶりのリーグ優勝を達成した2003年と同じペースです。あの時の阪神は8月まで3連敗がないという圧倒的強さでしたが、今年もここまで3連敗がなく、7連勝が2度という『負けない野球』。この強さは、終盤の得点力に理由があります」
5月20日からの7連勝を振り返ると、20日の広島戦は9回裏にルーキー森下翔太のサヨナラ打が飛び出し、1-0で勝利。翌日の広島戦は2-1で迎えた8回裏、二死2、3塁から梅野隆太郎の2点タイムリーで突き放し、4-1で快勝。
続くヤクルト3連戦ではまず5月23日、3-2で迎えた7回表、ノイジーの3ランで試合を決めると、24日は4-5で劣勢の9回表、二死からノイジー3塁打、大山悠輔が四球と繋げ、佐藤輝明の2点タイムリー二塁打で6-5と逆転勝利をもぎ取った。
25日は1点ビハインドの7回表、ミエセスのソロ本塁打で追いつくと、8回に近本のソロで逆転。追いつかれて延長にもつれ込んでも10回、二死無走者から満塁と粘る。大山の押し出し四球、佐藤の走者一掃3点二塁打で突き放し、ヤクルトを敵地で3タテした。そして26日からの巨人戦も、終盤の得点で3連勝。
「この7試合、必ず7回以降に得点して試合を決めています。7回以降の得点は、18回3/2で19。全29得点中の19得点なのですから、終盤の打線の集中力は特筆もの。打線のひとりひとりが好調を持続させているのですが、岡田彰布監督の用兵起用も光っています。例えば、梅野と坂本誠志郎を併用している捕手以外では唯一、固定されていない6番ライトのポジション。20日は前日のミエセスに替わってスタメン出場した森下がサヨナラ打、26日は、森下に替わってスタメンのミエセスが本塁打、27日はまた替わってスタメンの森下が同点打、28日はミエセスが本塁打…といった具合に、スタメン出場した選手が必ず結果を残しています」(前出・スポーツ紙デスク)
27日の巨人戦では9回表の巨人の攻撃で、梶谷隆幸、丸佳浩、中田翔の順で代打が出ると読み、浜地真澄、及川雅貴、加治屋蓮と投手を準備して巨人の攻撃をしのいだが、
「こうした読みは、将棋が得意という岡田監督ならではのものでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
将棋の実力はアマチュア3段という岡田監督は、前政権時(04~08年)には巨人・原辰徳監督や中日・落合博満監督との読み合いを「詰め将棋みたいで楽しかった」と振り返っている。まさに相手監督との読み合いを制しての7連勝といえるのだ。
(石見剣)