ロシア国内で、大規模なクーデターが発生する可能性が高まっている。ウクライナ情勢を分析する日本の公安関係者が、その理由を解説する。
「まずひとつは、ロシアのウクライナ侵攻に戦闘員を派遣している民間軍事会社『ワグネル』のボス、プリゴジン氏の言いたい放題、やりたい放題がエスカレートしている点です」
プリゴジン氏は6月1日からワグネルを2カ月間、ウクライナの戦線から撤退させると、SNSで一方的に宣言した。
「いくらプーチン大統領とツーカーの関係とはいえ、そんな勝手な宣言は許されない。裏を返せば、絶対的権力者だったプーチンの力が、プリゴジン氏の暴走を許すほど弱まっている証拠。こういう時は必ず、内乱の熱が高まります」(前出・公安関係者)
2つ目の理由はこうだ。
「米軍などによると、ロシア人主体の反政府組織『自由ロシア軍団』と『ロシア義勇軍団』が5月22日、ウクライナとの国境付近、西部ベルゴロド州に侵攻し、住宅や工場など数カ所を襲撃したといいます。国内で打倒プーチン政権の動きがここまで噴き出すのは異例ですが、今後もこれらに加わるロシア人やロシア軍からの離反者が増えることでしょう」(前出・公安関係者)
ワグネル撤退の引き金となったのは、ロシア国防省からの弾薬供給が滞ったことにある。これについて、
イギリス軍関係者が公安関係者に、次のように語ったという。
「プリゴジンに豊富な弾薬を与えると、その弾薬がロシア国内に向けられるという疑心暗鬼が、プーチンやロシア軍で渦巻いている」
ウクライナの猛反撃に加え、足元には大規模クーデターの危機を抱えるプーチン。もはや自国の力だけではどうにもならない状況だ。
(田村建光)