6月の2連戦(15日・エルサルバドル、20日・ペルー)に挑む森保ジャパンのメンバーが、5月25日に発表されている。
注目は初招集の森下龍矢(名古屋)、川村拓夢(広島)、川崎颯太(京都)の国内組3人だろう。ただ、代表に選ばれたからといって、必ず試合に出場できるわけではない。現に3月の2連戦では、ケガにより追加招集された町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)や藤井陽也(名古屋)は出場できず、パリ五輪世代の半田陸も出番がなかった。橋岡大樹(シントトロイデンVV)や中村敬斗(LASK)も、ウルグアイ戦の後半44分から数分の出場に終わっている。
森保一監督は「ひとりでも多くの選手に試合の経験を積んでもらいたい」と言うが、そこには限界もあるし、監督の優先順位もある。
今回、最も期待されているのは森下だろう。名古屋では両サイドのウイングバックとして活躍しているが、代表では層が薄い左サイドバックでの起用が予想される。持ち味は上下に走り回る運動量だが、それ以上に注目してほしいのが攻撃力だ。ここまで2得点3アシスト。名古屋の総得点20のうち、5得点に絡んでいる。深い位置までボールを運べるし、カットインしてシュートも打てる。
初招集といっても森下は、2020年に森保監督が東京五輪代表監督も兼任していた時に、五輪代表候補として招集されている。つまり森保監督にとって、森下は初めて一緒に仕事をする選手ではないだけに、使いやすいはずだ。
また、上田綺世(セルクル・ブルージュKSV)、三笘薫(ブライトン)、旗手怜央(セルティック)とは、2019年ユニバーシアードナポリ大会で金メダルを獲得した際の代表メンバー。コミュニケーションを取るのに、それほど時間はかからないだろう。この2試合、どちらかで先発出場する可能性は高い。
パリ五輪世代の川崎にも、出場のチャンスはある。ボランチには遠藤航、守田英正の不動のコンビがいる。鎌田大地(フランクフルト)、川辺駿(グラスホッパーCZ)もボランチができるとはいえ、本職としているのは川崎だけ。京都ではアンカーとして危機察知能力が高く、潰し屋といえるが、パスセンスもある。代表に年齢は関係ない。出場するチャンスがあるなら、思い切ったプレーに期待したい。
川村は身長183センチと体格に恵まれ、左利きというのも魅力。トップ下、シャドー、インサイドセンターなど、中盤ならどこでもこなせる。昨季の清水戦で約70メートルの超ロングシュートを決めるなど、常にゴールを狙う姿勢も持っている。ただ、中盤は層が厚い。海外で活躍する主力組に、今回復帰した相馬勇紀(カーザ・ピアAC)、旗手、川辺、さらに3月に初招集された中村敬斗など、ライバルは多い。優先順位を考えると、出場機会があるかどうかギリギリのところだろう。
森保監督は「選手層と戦術面を広げていきたい」と言っていた。つまり、1人でも多くの選手に日本代表の戦術を植え付け、最終的に選手層の厚さに繋げたいのだろう。だから今回、初招集の選手も次が大事。再び代表に招集された時に、すぐにチームに溶け込み戦力となれるかどうか。そのためにも今回の代表招集での経験を、次に繋げてほしい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。