日本野球機構と12球団幹部が集う実行員会が6月5日に開かれたが、議題に上がったのは、日本ハムの新庄剛志監督と審判団が大揉めした「幻のリプレー検証」だった。
5月28日の楽天VS日本ハム戦、9回1アウト満塁の場面で、打者が犠飛。この時、三走の離塁が早いと、新庄監督は審判団にリクエストを要求した。ところがリプレー検証に必要な映像が残っていなかったとして、判定は維持されたままになったのだ。新庄監督は手すりを叩いて、怒りを表したのである。
実行員会では、当該プレーの映像がない場合は審判団の判定をそのまま維持することが、新たにセ・リーグ、パ・リーグのアグリーメントに加えられることが決まった。とある球団関係者は、
「今さらながらという話ではあるのですが…」
と前置きした上で、次のように糾弾する。
「実に情けなく、審判団の脆弱さが露呈した案件です。メジャーリーグではビデオ判定を要求する『チャレンジ』制度がありますが、球場内を様々な方向から撮影し、必要に応じて審判団などが確認できる体制を整えています。ところが日本は予算がないことを理由に、CS放送などで流れる球団制作の中継映像しか、判断材料がない。カメラを増やすにも球団の各自負担になるため、球団側が難色を示している。やるならNPB(日本野球機構)が音頭を取って主導しなければ、また中途半端な裁定が生まれてしまう」
玉虫色の決着をわざわざアグリーメントに記載するほど、恥ずかしい話はない。