昨年12月27日に放送されたドキュメンタリー番組「プロ野球戦力外通告2022」(TBS系)に出演した前オリックス投手・海田智行を巡り、球界が大揺れした。
番組では11月に楽天モバイルパーク宮城で行われた「プロ野球12球団合同トライアウト」に参加後、NPB12球団からオファーを待つ海田に密着。その後、阪神から打撃投手のオファーを受けた。海田は「球団、チームにすごく献身的な仕事。やりがいを感じられるか。イメージが湧かない」などと心境を語り、打撃投手の年俸が「700万円だって」と話す様子も放送された。
これに苦言を呈したのは、阪神の藤川球児SA(スペシャルアシスタント)だった。「そんな企業内部のお金の話しちゃダメよ」とツイート。ところが一方では、元ロッテの里崎智也氏が「リアルドキュメンタリー番組。あの番組でかっこつけても逆にダメやと思う」と、海田を全面擁護した。見解は真っ二つだ。
「戦力外通告」を巡っては、球界内でも賛否が分かれていることは、本サイトでも報じている(2022年12月26日公開記事)。その弊害が出てしまった格好だろう。
この海田の暴露で思わぬ注目を浴びることになったのが、プロ野球界の「裏方の値段」だ。海田が夫人に話す場面で、年俸が700万円であることが明かされた。それでも現役続行にこだわるがゆえ、納得いかない表情を浮かべる様子が印象的だったが、さるセ・リーグ球団の関係者が明かすには、
「打撃投手の年俸は概ね、500~600万円が相場で、700万円も出せるのは阪神、巨人など、ごく一部の球団だけだ。金満球団で知られるソフトバンクも、裏方の待遇は今ひとつよくない。700万円までは出していないと言われている」
阪神や巨人の待遇がいいのは、年俸だけではない。
「他球団はスコアラーや広報業務などを兼任していますが、阪神と巨人ではその分、スタッフを多く雇っているので、そのようなことはない。ただし巨人の場合は、ある程度の年齢に達すると球速が落ちることを理由に、打撃投手は一方的にクビを切られることがある。スカウト、スコアラーに転身できる場合もありますが、そのまま退団するパターンは多い。そこはシビアですね」(球界関係者)
選手以上に厳しいとされる裏方事情。それでも「慣れ親しんだ仕事」として選ぶ元プロは多い。それが幸せかどうかは、その人次第といえよう。