12月に入り、冷え込む日が多くなってきた。空気の冷たい冬場は「脳卒中」が起きやすい時期だとされる。
「脳卒中」は、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が損傷を受ける病気。発症すると、身体機能や言語機能に障害を及ぼしたり、場合によっては死に至る危険もある。
「脳卒中」は3つに分類される。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れると「脳出血」、脳の血管にできたこぶが破裂して、脳のくも膜の下で出血した場合を「くも膜下出血」と呼ぶ。
冬季に気をつけたいのは、激しい温度差。急に寒くなると、脳内血管が収縮し、血圧が上昇。血管障害を引き起こす。これを抑えるために、日頃から血圧を計測して自身の血圧の状態を把握しておくことが重要だ。
「脳卒中」の予防で重要なのが寒暖差への対応だ。外に出る場合は肌着やマフラーを身につけるなど、防寒対策は必須といえよう。室内でも入浴時などの寒暖差が激しい場所では、特に注意が必要だ。脱衣所に暖房器具を置いたり、入浴する前には、風呂のふたを外して浴室を温めておくなどして、ヒートショックを防ぐように心掛けてほしい。風呂の温度を上げすぎない、帰宅直後に入浴しないことなども有効だ。
水分不足も脳卒中のリスク要因になる。脱水症状に陥ると、血流が悪化して「脳卒中」を発症しやすくなってしまうからだ。
脱水症状を防ぐためには水分補給が欠かせない。長時間の入浴を避けつつ、入浴前にコップ1杯の水分を飲むだけでもリスク軽減となる。また、利尿作用があるアルコールを過度に摂取しないよう心がけることでも脱水症状を避けられる。年末年始は、アルコールを摂取する機会が増えるため、お茶や水による水分補給も忘れないようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。