「ニャーニャー」「ニャ~ン」「ニャア」こちらの目を見つめ、何かを必死で訴えかけてくる愛猫。すべてを理解してやりたいが、果たして勝手な解釈になっていやしないか。「ChatGPT」を超えたと話題の「猫語翻訳アプリ」に通訳してもらうと。
普段はおとなしく、眠っている時間帯も多い飼い猫は、すでに15歳を過ぎたシニア。唐突に鳴き声を上げることがある。大抵は先のように「ニャーニャー」といった古典的なものではなく甘えるように「ア~ア~」と言っているように聞こえる。食事をねだることもあるだろうし、怒りの感情を伝えようとすることもあるだろう。飼い主としてみれば、そのシチュエーションで判断してきたわけだが、どうにかもっと意思疎通ができないものか。
ガラケー世代の記者は、現代のスマホ事情にとにかく疎い。こんな便利な代物の存在を知ったのは、娘が面白がって愛猫の口元にスマホを近づけていたからだ。
「何やってんの?」
「猫の鳴き声で言葉がわかるんだよ」
そんなバカな‥‥耳を疑ったが、調べてみると、すでに2年ほど前から「猫語翻訳アプリ」なるものが流行っていて、多くが無料でダウンロードできるという。鳴き声を翻訳することで、病気の発見に繋がったケースもあるというが、ともあれ、「にゃんトーク」なる人気アプリを無料ダウンロード。早々には鳴きそうもないので、しばらく待つことに。折しも、6月だというのに30度を超える真夏日だった。暑苦しさに、愛猫が長毛を気にしているように見えた。ブラッシングしてやるかと、ブラシを手にする。普段より、毛玉処理の際にブラシが引っかかって、その痛みから爪を立てて抗議をしてくることもしばしば。今回も鳴き声を上げている。嫌がっているのか、翻訳を試みると、
「I’m happy」
なんと、喜んでいるのか。今日はたまたま具合のいいブラッシングだったのだろうか。にしても、英語を使うとは洋猫だからか、アメリカ生まれのアプリだからか。よくよく調べてみると、広告を見れば日本語訳も可能なようである。
その後、オヤツを欲しがる時間帯になった。作業中だったため、「もうちょっと待ってて」といなしたのだが、しきりに顔を寄せて鳴いてくる。
「お腹が空いた。なんで無視するの?」
そうか、ごめんごめん。すぐあげるよ。
すっかり愛猫と話しているかのような錯覚に襲われる。すると、また鳴かなくなった。娘が言う。
「つまんないから、叩いたりして鳴かせてみてよ」
それは使い方が違うだろう‥‥。