日本人の「米離れ」が叫ばれる中、ここに来て「おにぎり専門店」の開業が相次ぐなど、おにぎりブームが到来している。老舗専門店では最大で6時間待ちの行列が出来るほどの人気ぶりだが、なぜ今になってこれほどまでの熱視線が送られているのか?
日本人の1人当たりの米の年間消費量は1962年をピークに減少を続け、最近では2012年頃から人気となっている低糖質ダイエットの影響。その傾向はさらに強まっていた。しかし、一般社団法人日本惣菜協会が発表する「2023年版惣菜白書」によると、弁当、おにぎり、寿司などの米飯類の市場規模は21年から回復傾向にあり、22年には4兆7600億円とコロナ禍前の19年を上回る規模に成長しているのだ。
特におにぎりの成長は著しく、最近半年間での購入頻度では1位弁当の48.9%に肉薄する45.7%となっている。おにぎりがブームになっているのには3つの理由があるという。経済ジャーナリストが説明する。
「まず1つめは、コロナ禍のテイクアウト需要があります。スマホを見ながらでも片手で食べられ、冷めても美味しいおにぎりは若者にも人気になっている。また、おにぎり専門店は省スペースで開店でき、難しい調理技術も必要ないことからコロナ禍に急拡大していったと考えられます」
2つめは、昨年から高騰している小麦価格が影響しているとの見方がある。小麦を使用するパンや麺類は軒並み値上げされるなか、安く食べられるおにぎりに消費者の人気が集中。サンドイッチ専門店からおにぎり専門店に鞍替えするところもあり、SNS映えするようなオシャレなおにぎりが人気を押し上げる理由になっているのだとか。
「3つ目は、海外でのおにぎりブームが挙げられます。ここ数年、アメリカやフランスでは寿司やラーメンに続いて、やはり片手で食べられ種類も豊富、そしてヘルシーなおにぎりが大ブームになっている。その影響もあって、日本ではインバウンドをターゲットとしたおにぎり専門店も増えているんです」(前出・経済ジャーナリスト)
減少する米農家を、おにぎりが救うかもしれない。
(小林洋三)