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世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「サトテルの2軍落ちが与える影響」

 阪神・佐藤輝明が不振のため2軍落ちした。交流戦明けのDeNAとの3連戦。初戦はスタメンで今永の前に4打数無安打。2戦目は出番なく、試合後に降格となった。翌日は名古屋の2軍戦で3安打。僕も評論家として佐藤輝のことをさすがに危機感を持ったとよく聞かれるけど、はっきり言ってわからん。調子がいいのかなと思ったら、とんでもないボールを振って三振するし、いい状態が長く続かない。かと思えば、突然すごいホームランを打つ。

 岡田監督にとっても難しい判断やったと思う。大山に続くチーム2位の38打点を挙げていたけど、打率は2割2分9厘。キング争いするぐらい本塁打が出ていたら我慢もできるが、9本塁打という微妙な数字。特に6月の月間打率は1割台に苦しんでいたので、2軍で出直しさせる決断になったんやろな。それにしても、首位攻防の遠征中の主力選手の降格は異例の措置。お灸を据えるという意味合いもあったと思う。

 これは佐藤輝の長所でもあり、短所でもあるけど、プレースタイルも含めてマイペースに映ってしまうところがある。同じような仕留められ方で三振したあとも反省してるのか、悔しがっているのかよくわからない。この1打席、この1球に懸けるという執念、気迫みたいなものが伝わりにくい。プロ野球選手には切り替えの早さも重要やけど、同じことを何度も注意している首脳陣にとっては「ほんまに直すつもりがあるのかな」となってしまう。

 でも、今回の2軍落ちはさすがに危機感を持ったと思う。ポジションは外野と三塁で違うが、同じ左打者で高卒2年目の前川がスタメン、しかもクリーンアップでも結果を残している。25日のDeNA戦ではバウアーから適時打を放ち、27日の中日戦では3安打の活躍でチームの連敗を5で止める立役者となった。

 前川の長所はストレートに力負けしないこと。1軍昇格当初は変化球にもろかったが、悔しい経験を積みながら変化球にも対応できるようになった。眼光鋭い打席での面構えもいい。佐藤輝と同じように長打も期待できるし、このまま一気にレギュラーをつかんでもおかしくない。

 前川効果は佐藤輝だけでなく、ドラフト1位の森下にもあるはず。2度の2軍落ちを経て、交流戦明けから1軍に再昇格。寝かし気味やったバットを立てて構えるようになった。1軍で悔しい打ち取られ方を経験して、フォームを変えてきた。森下の弱点は内角ストレートに対する対応。これさえできるようになれば、プロで食べていける打者になれる。

 でも、短所を消すために長所まで殺してしまってはいけない。森下はバットが遠回りするいわゆるドアスイングやけど、ドアスイングは悪いばかりでない。外角の球でも左中間に引っ張れるという特徴がある。特に甲子園は左翼方向に伸びる浜風が特徴。その甲子園を本拠地に戦うので、外角を強引に引っ張れる森下のスイングは魅力のひとつ。だから、下手に直そうとしないほうがいい。内角高めのストレートをいかに打ち返すかだけを考えて、練習でひたすら打ち込むこと。そうすれば、プロで稼げるドアスイングになるはず。

 佐藤輝、森下、前川の3人が切磋琢磨しながら、優勝争いの大詰めでスタメンに名前を連ねているかどうか。アレに向けての重要なポイントやと思う。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コーチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。

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