荒れる名古屋場所が7月9日から始まる。
在位12場所目となる横綱・照ノ富士(伊勢ヶ浜部屋)が連続優勝して、9度目の賜杯を手にするか。また、新大関の霧馬山改め師匠のしこ名を継いだ霧島(27=陸奥部屋)が重圧を跳ね除けられるか注目される。
しかし、何といっても見逃せないのは関脇3力士が大関獲りの今場所、活躍できるかどうかだろう。
東の豊昇龍(24=立浪部屋)は6場所連続の関脇で、西の大栄翔(29=追手風部屋)は2場所連続の在位となり三役は3場所連続。若元春(28=荒汐部屋)は2場所連続の在位で三役は4場所連続。いずれも大関取りの場所となる。
3力士は、先場所と先々場所で三役として通算20勝以上を挙げており、これは1972年秋場所の貴ノ花、魁傑、輪島以来、史上3度目となるハイレベルで豪華な関脇3人衆と言えるのだ。
彼らの場所前の稽古はどうだったか。相撲ライターが続ける。
「いずれもいい稽古をしていたが、一番凄みを感じたのは豊昇龍。名古屋市内にある部屋では1日38番稽古した日もあったが、本人は『それだけしか取っていないのか』と言うほどです。昇進の目安となる33勝には12勝が必要ですが、叔父で元横綱の朝青龍譲りの負けん気の強さで好機を引き寄せるか」
大栄翔も悪くない。部屋の宿舎が三重県鈴鹿市と辺境地あるため、部屋での稽古が中心だが、夏場所が終わって1週間しか経過していない6月初旬に佐渡ケ獄部屋(千葉県松戸市)に出稽古を敢行。埼玉栄高校の先輩である小結・琴ノ若と存分に稽古に励むなど気合十分だ。
若元春は7月5日、出稽古に訪れた新大関霧島との三番稽古に臨み、攻防は約30分間に及んだが、
「12番取って3勝と圧倒されてしまった。それでも、がっぷり四つになって決着まで約5分を要する場面もあり、力が拮抗していることが分かりましたよ」
15日間の戦いはこの3力士と新大関、照ノ富士を中心に繰り広げられるが、
満身創痍の照ノ富士は梅雨時の気候がどう影響するかが気がかり。間違いないのは、賜杯がこの5力士の争奪戦になることである。
(蓮見茂)