まさに臨機応変な投球が光った試合だった。ロッテ・佐々木朗希のことである。
7月5日のZOZOマリンスタジアムでの西武戦に先発登板した佐々木は8回無失点で、6月11日以来の6勝目を挙げた。
初回、先頭打者の外崎修汰に158キロの直球を左中間フェンス直撃の二塁打とされ、2番の源田壮亮も、157キロ直球を三塁前のバントヒット。この時点で、西武打線が直球を狙っていると気付くとすぐさまスライダーとフォークを連投し、三振の山を築いた。その数は、マウンドを降りるまでに11を記録。特に初回はいきなりのピンチを背負いながら「全員、三振を取るつもりで投げた」と語った通り、後続を3連続三振で退けるなど、序盤からギアを入れてしのいだのだった。
その後も風速10メートル以上の強風がバックネットに当たり、逆風として跳ね返ることをうまく使って、落ちが鋭いフォークやスライダーを軸に、西武打線をネジ伏せる。相手の反応を見ながら「うまく組み立てられた」と話したが、吉井理人監督は「本当はもっと、直球を投げてほしい。あの投球は年を取ってからでいいと思う」と苦言を呈した。スポーツ紙遊軍記者は、
「彼なりに考えての投球だったと思うが、吉井監督からすれば、物足りないと映ったのでしょう。5月にも手のマメを潰して3週間離脱し、去年はこの時期に同じくマメを潰して1カ月も離脱した。しのぐ投球の前に、マメをケアしながら本格派としての限界値を探ってほしいわけです」
そうはいっても、今シーズン両リーグ最速の3ケタ三振を達成し、107奪三振、防御率1.50、勝率7割5分は、堂々のパ・リーグ投手3冠。実力はしっかりついてきているのだ。