遊軍記者が続ける。
「2年かけて、明らかに下半身が太くなりました。体幹が安定して、昨季も終盤に近づくにつれて制球の乱れが少なくなっています。肉体改造の結果としてフォームが完成形に近づき、常に全力を振り絞らずとも160キロを出せるようになったのです」
井口資仁監督(47)との二人三脚で昨季までの2年間、付きっきりだった吉井理人ピッチングコーディネーター(56)の一貫した指導法が実を結んだ形だ。さらに、佐々木自身が兼ね備えていた身体的特徴も大きく寄与した。
「もともと体が非常に柔らかく、肩の可動域が他のピッチャーより広いそうです。あの流れるようなしなやかなフォームはその賜物。190センチの長身から全身をムチのようにクニャクニャとしならせることで、速く重いボールをズバッと投げ込むことができるのでしょう」(スコアラー)
房総の内海を漂う「軟体タコ投法」とでも名付ければよいだろうか。剛速球や投球時の精悍な表情とのギャップを尻目に、相手打者にとっては、捕まえどころが難しい、という点で言い得て妙かもしれない。
「覚醒」した佐々木に注がれる熱視線は日増しに熱くなる一方で、
「何人ものメジャー球団関係者から、佐々木の名前を聞きました。ある球団の極東スカウトは『ロッテの渉外部門にはメジャー球団で働いていた職員がいる。彼を窓口に、密に連絡を取っていくつもりだ』と言っていました。23年のWBCで侍ジャパン入りするでしょうから、大会はいい見本市になるはずです」(球界関係者)
また、報道過熱の一方ではこんな不穏な話も。
「色めき立っているのは、ロッテの球団広報ですね。球団の公式ユーチューブで密着し、フレンドリーな仲をアピールしているんですが、『佐々木は自分の食い扶持だ』と言わんばかりに見えるんです。実は佐々木の取材は非常に難しい。週刊誌はもちろん、夕刊紙すら締め出して、一部の朝刊紙だけに情報を与えている。佐々木が活躍すればするほど対応がぞんざいになっては困るので、『あんまり佐々木が活躍するとマズい』なんて声も聞こえます」(球界関係者)
しかし多少、周囲が足を引っ張ろうとも、今季の爆発はもはや確定的と言い切っていい。内藤氏が語る。
「12~13勝が最低ライン。最多勝候補だと思います。パは他の球団も強いですが、表ローテの3番手か裏ローテ1番手での起用になるでしょうから、投げ合うのが相手の3、4番手になることも大きい。15勝、いや20勝しても全く不思議ではないですね」
後の歴史的大エースの「20勝元年」となるか──。